八甲田山は、映画「八甲田山」のヒット以来、冬場の猛威により、人命すら簡単に飲み込む死の山として有名になった。そもそも新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』を原作にしたものだが、これは実際にあった軍事訓練中の遭難事件をモデルにしている。
その後は遭難して亡くなった部隊の歩兵達が亡霊となり、今も八甲田山を彷徨っているとか、青森の連帯基地に行進して戻ってきたため上官が「回れ右!」と命令したため山へ戻っていったとか、様々な怪談が伝えられている。なお、後に黒澤明監督が作品「夢」の中で、トンネルの中で全滅した部隊の兵士が行進して来て生き残った上官に無言の抗議をする場面を創り上げたが、この場面はこの怪談がベースになっていると言われている。
このような怪奇現象は、陸上自衛隊が八甲田山で雪中訓練をする際にも発生しており、大勢の人が歩き回る気配や、野営用のテントを叩かれることがおきているという。また、ある番組のなかで、行軍する兵士たちの霊の撮影に成功したことがある。
また不気味なことだが、八甲田山の軍人に纏わる事故が多い。1997年には自衛隊が旧日本軍の遭難場所付近のくぼ地で遭難、滞留したガスにより、12人が病院に搬送されうち3名が死亡する事故事が発生しているのだ。
2006年12月3日午後4時15分頃には、軍人にとって三回目の悲劇が起こっている。なんと今回は米軍であった。八甲田スキー場で、休暇中の米軍三沢基地所属の米兵2人がスノーボードを満喫中に遭難してしまった。幸い無事に救出されたが、何故か八甲田山は軍人に牙をむく傾向があるようだ。
因みに八甲田山の遭難事故から生還した兵は四肢切断など悲惨な結果に繋がったが、二年後に開戦した日露戦争において全員が戦死している。死神からは逃れなかったのだ。
十数年前、筆者はかみさんと八甲田山で遭難場所となった「田代平」を探していたことがある。散々迷った挙句、車を止めふと見上げると、「田代平」という看板がそこにあったという経験をしている。
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番組で放送された兵士の霊
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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