現在の中国で出版禁止になっている易の奥義書にして預言書「推背図」。この「推背図」の予言は決して意味不明な出鱈目を並べたものではなく、易の理論に基づいて書かれた易の奥義書だとされている。
漢易は、合理的で複雑な理論から、個人の未来だけではなく全宇宙の事象を読み取ろうとした。数学・哲学・天文・暦法なども取り込み、漢易は人間や社会を読み取る総合的な学問になった。
また、最近解説が進んでいるのだが、この60種類の絵には易緯に見られる六十卦、十二月と十二辰が巧妙に配当されており、易学に長けた者にはその深遠さが理解できるというのだ。
易は確かに未来を読み取るものだが、易の奥義書と予言書を取り違えるのはいささか早計ではないだろうか。また、なんでもかんでも不必要に煽る無責任なオカルト雑誌があるのも問題ではあるが…。
どちらにせよ、難解であるが故に予言書とされた「推背図」は、易学の奥義書であり予言書ではない可能性が高く、予言論者よりも昨今では易学の関係者から注目を浴びているのだ。
また最近では、諸星大二郎の漫画「諸怪志異」に「推背図」をめぐる争奪戦が描かれており、一般的な知名度も増している。
このように、アジアにも予言書は古代から多く伝わっているのだ。
三国時代の諸葛亮(孔明)が著述したと言われる『馬前課』、北宋の頃は、邵雍の『梅花詩』が流行り、明朝では劉伯温の記した『焼餅歌』が予言書とされた。
韓国にも予言集『格庵遺録』があり、その内容が恐れられたと言われている。人はいつの時代も予言が好きなのだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
関連記事
実は預言書だった!?謎に満ちた中国の古書「推背図」とは
画像『古代中国の大予言書「推背図」開封 (超知ライブラリー) 』表紙より