現在、レトロな下町スポットとして注目を集めている東京・谷中に全生庵というお寺がある。
全生庵は幕末から明治にかけて活躍した山岡鉄舟が国事に殉じた人々の菩提を弔うため、明治十六年に建立した臨済宗国泰寺派の寺院である。
同寺には幕末や明治の偉人ゆかりの品も現存しており、この時期になると特に注目されるのが落語家三遊亭円朝蒐集の幽霊画コレクションである。
全生庵には同時代を代表する落語会の大看板にして、現代まで語り継がれる「怪談牡丹燈籠」「真景累ヶ淵」「文七元結」などの原作を著した三遊亭円朝の墓が存在しており、彼は生前山岡鉄舟に禅を学び、「芸禅一如」の境涯に達した人物とされている。
今年は、過去に全生庵に所蔵されていたが関東大震災で失ったとされていた、日本画家鏑木清方の筆による「茶を献ずるお菊」の掛け軸が発見されたため、展示されている。
彼が作品の参考として集めていた幽霊画コレクションは、毎年8月1日から1ヶ月間公開される。中には伝丸山応挙筆とされる「幽霊図」など、幕末から明治にかけて活躍した著名な画家達による鬼気迫る、時にユーモラスさも感じる作品群となっている。
この夏、現代でも色あせない並み居る巨匠達の作品群に触れてみてはいかがだろうか。
『全生庵8月の幽霊画展』
【開催情報】8月1日~8月31日 午前9時~午後5時迄 入場料:500円
公式サイト:http://www.theway.jp/zen/index.html
画像は全生庵公式HPより