広大な宇宙には、地球以外にも生命がある天体が存在しているのではないかとされている。もし、知的生命体が生息しているのだとするならば、我々のように向こうも知的生命体を探していたり、住んでいる星から離れて活動しているかもしれない。
そんな仮定から産まれたものが地球外知的生命探査、通称SETIである。
探査には様々なものがあるが、一般的なものが宇宙空間を飛び交う電波を調べるというものである。以前、アトラスでもこの試みについて紹介し、いくつか正体不明な謎のシグナルが検出されている事を紹介した。
代表的なものが、1977年に検出された通称「Wow!シグナル」だ。
この信号はオハイオ州立大学のジェリー・エーマン教授がビッグイヤー電波望遠鏡が約72秒間にわたって受信したものであり、信号強度は「6EQUJ5」という非常に大きなものだった。この信号を解析した所、周波数が1420.356MHzもしくは1420.456MHzという水素原子が遷移するときに放出される21cm線(水素線:周波数1420MHz)に極めて近い値を持つことが判明した。
水素線は恒星間通信で使われるのではないかと予想されていた電磁波であったため、地球外知的生命体が交信していた電波を受け取ったのではないかと注目を集めていた。
しかし、2016年6月に意外な正体が明らかとなる。セントピーターズバーグ大学のアントニオ・パリス教授は、Wow!シグナルが発見された状況を天文学のデータベースに照らし合わせた結果、266P/Christensenと355P/2008 Y2(Gibbs)という2つの彗星が横切った際に生じた電波を受け取ったものではないかという説を出したのだ。
この2つの彗星は直径数百キロにも及ぶ巨大な水素の雲に覆われており、また2008年に発見されたばかりであったため、Wow!シグナルが発見された当時は存在が確認されていなかったのだ。
そこで、現在この彗星が再び同じ軌道に戻ってくる2018年1月7日に再度電波望遠鏡で同じシグナルを検出できないか観測するプロジェクトが計画されている。
長い間地球外知的生命体のものではないかと信じられてきた信号の正体が判明する日が近づいている。
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WoW Signal
(飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)