ジロウさん(仮名)は神田の古本街である小説を買いました。
不思議なのですが、なぜこの小説を選んだのか・・・古本屋の棚の上のほうにあったこれにごく自然と手が伸びたというんです。
さて、家に持って帰って読んでると至る箇所に様々な書き込みがしてあるのに気付きました。
『主人公はこう考えていたの』、『この台詞は頂けない』だとか。とても気の利いたコメントが書いているのです。
しかもその感想の内容がジロウさんの気持ちとまったく同じなのです。
「ああ、なんて愉快な奴だ。この本、一体誰が前の持ち主だったんだろう・・・」
そして、ジロウさんは裏表紙に前の持ち主の名を見つけその場で卒倒しそうになりました。
なんと、5年前に他界した自分の父だったのです。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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