冬の明け方、スウェーデンの民家の屋根や窓に向けて、凍った人間の遺体を放り投げてくる魔人。身長は100メートル、骸骨の姿をしており、「投げ捨て魔人」と呼ばれている。
この魔人は、野原で凍死した人間の遺体を集めては投げ歩いているのだ。
…という説明は「世界妖怪図鑑(立風書房)佐藤有文」にある記載である。
この魔人の絵として、同書で紹介されているのはフェリシアン・ロップスの絵画「毒麦の種を蒔くサタン」である。一応サタンなのでギリギリ魔物と言えば、魔物だが名画を妖怪の絵に当ててしまうのはいささか無理がある。
佐藤有文は、このように創作妖怪に世界の名画を当てはめていくというコラージュ作業を度々やっている。彼は何故こんなことをしたのであろうか。これは筆者・山口敏太郎の推理に過ぎないのだが、佐藤有文の父親は作家の佐藤鉄章である。
権威のある父親に対する無意識な反発が名画の妖怪コラージュの原因ではないだろうか。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)