ナマメは岡山県真庭郡川東村にて伝わる妖怪である。
現在の川東小学校の裏手の道は昔から「ナマメスジ」と呼ばれており、夜中になると犬くらいの大きさの怪しい獣が音をさせながら通ると言われている。この獣を「ナマメ」と現地では呼んでいる。
実際にナマメらしきものに遭遇した話は多く、隣村に使いにいった女性が夜中に近辺を通りがかった所、背後から何かがひたひたと音を立てて後を付けてくるのに気づいた。
この怪異にあったときは決して後ろを振り向いてはいけないと言われていたため、女性はわき目もふらずに一里(約4キロ)の道のりを急いで我が家に帰りついた。そして表の戸を閉めてから隙間より外の様子を伺うと、爛々と輝く二つの目が闇の中からじっとこちらを伺っていたという。彼女が悲鳴を上げたところ、その目は消え去ったそうだ。
夜道を急ぐ人を後ろからつけねらう「送り狼」の別種とも言える妖怪である。この妖怪は近年でもたびたび目撃されているようで、現地の人は今でも夜にナマメスジの近辺を通りたがらないとされている。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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