妖怪・幽霊

【実話怪談】横切る赤ちゃん

 Mさんは神奈川にある某食品工場に勤めていた。この工場は地方の高校や専門学校を卒業した新人社員を採用しており、工場の横には男女の寮が併設されていたのだが、男子寮には男の霊が頻繁に出没し、噂になっていた。また、女子寮にも窓ガラスに見知らぬ女が写ることがあった。

 ある日のこと、Mさん工場での夜勤を終え、真夜中に寮に向かって歩いていた。

 この寮への帰路は、男女の寮を結ぶ道でもあるのだ。




 「ああっ、疲れたな」

 そうつぶやきながら、歩いていると目の前を小さな物体が横切った。

 息を飲み、唖然とするMさん。

 何故ならその姿が、赤子のようにみえたからである。つまり、道の前途を小さな赤子が飛びながら すーーっと横切ったのである。

 『そんな馬鹿な』

 わが目を疑ったMさんにある日、霊感の強い友人から真実が伝えられた。

 「それって、水子ではないの?」

 実は以前、男子寮の社員と女子寮の社員が交際し、身ごもってしまい、身重のまま、二人で心中した事件があったのだ。




 『そうか、それなら辻褄があうな』

 Mさんは納得した。男子寮に出る男の霊、女子寮に出る女の霊、そして寮をつなぐ道に出る赤子。全ての謎がわかった彼はつぶやいた。

 『あの赤ちゃん、両親の間を浮遊してるんだろうな』

(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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