SFの世界では当たり前の設定だが、我々人類もいずれスペースコロニーを建造し、宇宙空間で生きて、月面基地や太陽系の各惑星に住むことが当たり前の時代がくるのは間違いないであろう。
だが、かつて火星への人類移住に関して壮大な都市伝説が流布されたことがある。『第三の選択』に纏わるストーリーがそれだ。この『第三の選択』とは、1977年6月20日に放送されにイギリスのアングリア・テレビが製作のモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー、偽ドキュメンタリー)である。
この内容が凄かった。世界を二大陣営に分ける冷戦のさなか、米ソ間で秘密協定が結ばれた。その秘密協定とは環境汚染や核汚染により地球が住めなくなった場合、アメリカとソ連の一部の人間たちはロケットに乗り、火星に移住するというものであった。
このハリウッド映画並みの設定と出てくる俳優たちの熱演により、このプログラムは単なるモキュメンタリーではなく、”真実”だと思い込む人々が世界中で続出する事態になったのだ。
我が国ではフジテレビが1978年に放送され、筆者もリアルタイムで見たのだが当時の小学生はトラウマになった。さらに、日本テレビでも1982年に放送され、リアルっぽく矢追純一氏が解説したため、完全に”ドキュメント”として勘違いする者が続出した。
結論からいうと、4月1日(エイプリルフール)用のジョーク番組なのだが、エイプリルフールに慣れてなかった?当時の(一部の)日本人は真実としてとらえてしまった。
だが、21世紀に入った現在、この火星への移住がまんざら夢物語ではなくなってきた。
2012年に入って公表させたことなのだが、アメリカ・ニューメキシコ大学の科学者フランシス・マッカビン氏によると、火星地下のマントルには火星全体を深さ200~1000メートルで覆うことが可能なぐらい大量の水分(70~300ppmの水分)が埋蔵されていることが判明したのだ。
惑星移住計画やテラフォーミングは想像の世界ではよくあるものだが、現実になる日も近いのかもしれない。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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