かつて芸能界には破天荒な人物が沢山いたのだが、現在はコンプライアンスの浸透により、そのような豪快な人物はどんどん減っていった。
最期の破滅型芸人と言えば、立川談志が彷彿させられる。
この立川談志がこれまた破天荒な性格で知られたやしきたかじんと番組収録中にバトルへと発展したことがあった。
それは95年讀賣テレビで収録された『たかじんnoばあ〜』の収録現場で発生した。
話題が盛り上がる中、下ネタモードに突入した。たかじんが他の共演者と下ネタで爆笑していると、言葉少なげな態度で聞いていた談志がポツリと言った。
「ふぅ、下品な番組だな」
一瞬、静まり返るスタジオ。すぐさま、たかじんが反応した。
「なんやこら、文句あるんか』」
すると談志がこう切り返した。
「おっ、誰に向かって口きいてんだ」
「おまえしかおらんやろ、やるんやったら表でろ!」
「なんだ、このやろう」
立ち上がる談志に向かって灰皿が飛んできた。
”ガシャーン”
次の瞬間、モノが壊れる音を聞き、我に返った番組スタッフが一斉になだれ込み、両者の間に割って入ることで直接の殴り合いは未然に阻止された。
しかし、当日の収録はお蔵入りとなり、やしきたかじんと立川談志は共演NGとなってしまった。
今では二人とも鬼籍に入ってしまったので、その後はお互いにどう思っていたのかは判らずじまいである。しかしながら、この一件はまさしく芸能史上に残る対決であった。
(串田圭介 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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