遠野といえば、柳田国男の『遠野物語』で知られ、民俗学の故郷として広く認識されている。その遠野で今、最も熱いスポットが早池峰神社である。この神社は妖怪ザシキワラシ発祥の地といわれており、最も古いザシキワラシの目撃談が残されている。
ザシキワラシとは、柳田国男の名著「遠野物語」以来、我々日本人に親しまれてきた妖怪である。この妖怪「ザシキワラシ」は、東北地方を中心に伝 承されているのだが、その家の守護神的な存在であり、それがいる限りその家は繁栄し続けるが、いなくなるとたちまち没落してしまうという有名な妖怪である。
この神社ではその伝承をきっかけに『ザシキワラシ祈念祭』を毎年4月29日に開催している。平成に入って始まった新しい祭だが、この祭ではザシキワラシの人形が配布される。そして、毎年そのザシキワラシ人形を集め、魂の入れ替えとして『祈念祭』をやるのだ。100体以上のザシキワラシが並び、大勢のザシキワラシ信者が神殿に拝むシーンは圧巻だ。
現在遠野では、ザシキワラシが住んでおり、見ることができると公言している旅館や民宿が3,4軒あり、一目見たいという人々でにぎわっている。岩手県遠野市の民宿「とおの」、民宿「曲り家」などで遭遇することができるという。ザシキワラシが出ることで最も有名な旅館は「緑風荘」だったが、こちらは2009年10月4日に火災で焼失してしまった。
しかし、全焼する大火だったにも関わらず、人的被害がなかったことから、これもザシキワラシの助けによるものだったのではないかと考えられている。なお、緑風荘は2016年に再建され、営業再開している。
妖怪伝説はまだまだ21世紀も健在なのだ。
(監修:山口敏太郎 / 田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
遠野物語