饅頭は元々外来の食文化であったが、今となってはすっかり日本文化にとっては無くてはならないものになっている。この饅頭をよくよく考えて見ると、必ず神社仏閣の門前町で発達し、親しまれている。つまり、聖地と饅頭は常にセットとなっているのだ。今回はパワースポットに連動する形で、パワーフードとして人気が高まっている饅頭について述べてみたい。
我が国の饅頭は、中国の饅頭(マントウ)が1349年に林浄因によって持ち込まれたのが始まりであり、禅宗のお茶と一緒に食べる仏教菓子として流布していった。つまり、日本に持ち込まれた時点で既に、饅頭はお寺という聖地と関連深かったのである。
因みに、2013年は伊勢神宮が20年に一回の遷宮であり、出雲大社も60年に一回の遷宮であったことから、この二社を同年に参拝するとご利益があると言われており、筆者も両方を取材で巡ってきたのだが、どちらも門前に甘味文化が根付いていた。
伊勢神宮の門前には”赤福”があり 出雲大社の門前では、日本のぜんざいのルーツとされる”出雲ぜんざい”があった。どちらも美味しかったのだが、参拝という行為と甘味を味わう行為がセットになっていることを実感した。
これはまだ交通機関が発達してなかった江戸や明治・大正の頃、遠方から徒歩でやってきた参拝客の疲労を甘味でとるという意味合いと、人生の中で何度もない”参拝の旅”という晴れの日に華を添える意味があった。
昭和初期までは、一般の人々はろくに旅にも出ず、せいぜいお伊勢参りや金毘羅参りなどという寺社仏閣への”参拝の旅”を人生のうち何度かするぐらいで、女性の場合、生まれた村を死ぬまで一度も出たことがない場合も珍しくなかった。だからこそ人々は昔から遠く離れた土地の銘菓に憧れ、また地元の伝統的な菓子を大切に思ってきたのだろう。
現代ではネット等で家にいながらにして地方の銘菓を楽しむ事ができるが、パワーフードとしては実際に作られている場所、現地で購入して食べる方が御利益があるそうだ。年始で旅行したり、遠くの寺社仏閣へ初詣に行く人は、現地のパワーフードを食べてみるのも良いのではないだろうか。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)