「一生に一度は結婚したい」「大事な子供に良い伴侶を見つけてもらいたい」とは、多くの人が願うことではないだろうか?しかし、中には無念にも若くして未婚のままで、あの世に旅立ってしまった魂たちがいる。
山形県の村山地方の村には、このような死者への弔いとして、死者の魂がこの世にあるうちに伴侶と婚礼を行う、 死後婚「ムカサリ」と呼ばれる風習がある。
ムカサリの語源は「迎えられる」という結婚を意味する方言からくる。嫁に「迎えて去る」ことから呼ばれる。
縁結びで知られる山形県天童市の若松寺には、ムカサリ絵馬と呼ばれる死後婚の証が納められている。
死後婚は中国から伝来した風習で、昔は死者の伴侶に生きた人間が選ばれ、 死者と一緒に埋葬される事もあった。日本で盛んになったのは第二次世界大戦中である。戦時中に未婚のまま亡くなった若い兵士の親たちが、子供のために死後婚をおこなったことで死後婚が広まったという。
しかし、「ムカサリ」には、「実在の人物を絵馬に描くと、あの世に連れて行かれる」という都市伝説もある。
確かに、霊的に「人形」には魂が宿りやすいと言われている。人形や人物画が怪奇現象を引き起こす例は数多く報告されている事を考えると、人を描いた絵馬にも魂が宿る可能性はあるだろう。
現在は”生きている人が連れて行かれないように”、死後婚の伴侶は架空の人物が務めることになっているそうだ。
(深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)