【妖怪ウォッチ研究序説】天候を操り、病気にさせる大妖怪「ぬえ」

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。

「猿の頭、虎の胴体、蛇の尾を持つ」古典妖怪のぬえも、キュウビと同じく古くから伝説の残る妖怪だ。

伝説によっては猿の頭・狸の胴体・虎の手足に蛇の尾を持つとされている。ぬえは漢字で『鵺』と書くが、これはトラツグミという鳥の別名である。ぬえの鳴き声がトラツグミの鳴き声に似て非常に不気味なものだっため、この名前で呼ばれるようになったようだ。




妖怪ウォッチでは「ふつうに鳴いているだけなのに気味が悪いとよく言われて、ちょっと傷ついている」らしいが、実際の伝説ではぬえの鳴き声が響くときは不吉な事の前触れであると信じられていた。

平安時代末期、近衛天皇の時代に夜な夜な怪しげな黒雲が御所を覆い、奇妙な鳴き声が響き渡るという事件が起きた。毎夜の奇妙な鳴き声を恐れ、天皇は遂に病気になってしまう。そんな中、弓の名人の源頼政が黒雲を射ったところ、前述の奇妙な姿をした妖怪、ぬえが落ちてきて黒雲がかき消えた。




以降は不気味な鳴き声もしなくなり、天皇の病気も回復したのだが、それから数年後に保元の乱が起きる。ぬえが不吉の前触れならば、ぬえはこの事件を予告するために出てきたのかも知れない。さて、妖怪ウォッチでぬえは『雷電落とし』という雷系の必殺技や妖術を使ってくる。もしかしたら、これも天候を操り黒雲と共にやってくるぬえの伝説に基づくものかも知れない。

(黒松三太夫  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)

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