妖怪・幽霊

「鬼郷」幽霊と人間が一緒に暮らしている町がある!?

 10月31日のハロウィンは、古代ケルトの伝承に由来するもので、先祖の霊が帰ってくると共に悪霊や魔物が出てくる日とも考えられていた。そのため、人々は悪霊や魔物の害に合わないよう、仮装をして悪霊らの目を欺いていたとされている。

 ハロウィンは一日だけだが、中には常に幽霊が現世に出てきており、生前と同じように暮らしているという場所もあったという。中国の「鬼郷」と呼ばれていた町だ。




 中国の幽霊は日本の幽霊と違って足があり、夜に活動する以外はほとんど人間と外見的な差異がないとされた。また、人は亡くなればほぼ間違いなく地獄で何らかの沙汰を受けると信じられていたが、冥途に行くにも一端の旅行と同じく路銀と通行手形が必要であるとされ、遺族は紙でできた銭と「冥途路引」なるパスポートを用意し、焼いて死者の元へ送った。

 中国の冥府では死者の間にも貧富の差があり、手元に潤沢な金銭がないと買い物などができず、飢えや寒さに苦しむとされていたのだ。先ほどの路銀の例しかり、焼かれたものは全て冥途にいる死者の元へと送られると考えられていたため、死者があの世で苦労しないように、多くの紙銭を燃やしたという。

 中にはすんなりと冥途につかず、寄り道して現世に迷い出てくる幽霊も多くいたようで、人間に悪さをしたり、逆に生前と変わらず市で買い物をするような例もあったという。




 例えば、四川省の成都等には「鬼郷」という鬼と人間が非常に近しく暮らしている町があり、その町の市場は昼間は人間で、夜は幽霊で賑わう。幽霊の買い物は基本人間には価値のない紙銭でやりとりされるため、店主は夜の客から金を受け取る際に水を張った皿に入れる。

 本物のお金なら水中に沈むが、紙銭の場合は水に浮かぶため、幽霊が買い物にきたと知った店主は損にならないように品物の量を少し減らして客に渡すのだそうだ。

※参考文献:水木しげる「あの世の辞典」(東京堂出版)

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

※写真はイメージ画像