現在、韓国では大統領に深刻なスキャンダルが発覚して話題になっている。
現役の大統領である朴槿恵(パク・クネ)氏が40年来の親友の一般女性に重要な機密文書や外交文書を見せて助言を貰っていたというもので、韓国検察は31日、問題の人物である朴氏の親友、崔順実(チェ・スンシル)容疑者(60)を緊急逮捕した。
崔容疑者がどの文書を入手し、どこまで国政に関与していたかは不明のままであるが、外交の際に相手に対してどのような発言を取ればよいか、外交の際には何色の服を着たらよいかなどのアドバイスを行っていたと見られている。
現状では明確になっているのはこうした服のアドバイス程度だが、場合によっては国内外の政策に関してもっと踏み込んだ内容の指示もしていたのではないかと見られており、更なる捜査が行われる模様。
崔容疑者は大統領記録物管理法違反及び、横領等の疑いが持たれている。大統領と近かったことにより、その権力などを悪用して財団を不正に成立、私物化したりした等の疑惑が出てきており、規模はかなり大きくなるとされている。
崔順実容疑者は、朴大統領の母親と父親が相次いで暗殺された頃から、失意のうちにあった彼女を側で支えてきたとされる人物。
様々な事業を興しているが、宗教家としての側面もあった。父である崔太敏氏は宗教団体「大韓救国宣教団」を創立した人物であり、彼女の代になって大韓民国救国宣教団に改名。朴大統領はこの宣教団の名誉総裁に就任していた。なお、この教団は1980年に解体されているが、その後崔容疑者は財団を経営、実業家として名を馳せるようになっていった。
韓国には元々巫堂(ムーダン)という土着のシャーマニズム的信仰が存在しており、先祖供養や祈祷などを行い昔から地域の人々の信仰を集めていた。また韓国には現世利益的なキリスト教系の新興宗教団体も多く、迷い悩む人々の受け皿となっている面がある。
また、心身共に弱っているときに支えとなる人が存在した場合、人となりや背景を別にしても、その人に極端に心酔し、依存してしまうようになる事もよくある事だ。今回の韓国の事例では、この二つの点が密接に関わっていたのではないかと見られている。
朴大統領は25日に演説草稿等の一部書類を崔容疑者に見せたことを認め、謝罪を行っているが、韓国国民からの反発は強い。政権の支持率が下がってきた所に湧いたこのスキャンダルにより、辞職を求める国民の声は大きく青瓦台の前では連日市民団体によるデモなどが行われているという。
現状、憲法の規定から現職大統領は訴追されないが、疑惑の中心人物が逮捕されたことで、朴政権に大きな危機が訪れ場合によっては退陣の可能性が出てきたのも事実である。果たして、この騒動はどこまで拡大するのだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)