父と継母をめった打ち?童歌にもなった未解決の殺人犯リジー・ボーデン





昔から語り伝えられているわらべ歌や童謡には、実は怖い意味や背景を持つものがある。

よく都市伝説などで取り上げられるものだが、それは日本だけではなく海外でも多い。むしろ、海外のほうがもっと直接的な表現をしているものが多いといえるかもしれない。

現在、欧米のわらべ歌集であるマザー・グースの中に収録されているものの中に、このような数え歌がある。

“Lizzie Borden took an axe, And gave her mother forty whacks.And when she saw what she had done, She gave her father forty-one.”

リジーという名の女性が斧で母親を殴り、自分のしでかしたことに気がついて父親も殴る、という恐ろしい内容だ。

このわらべ歌はアメリカで実際に起きた殺人事件が元になっている。

1892年8月4日、アメリカのマサチューセッツ州フォールリバーにて、地元の資産家アンドリュー・ボーデンとその後妻アビー・ボーデンが斧で頭部や上半身を複数回殴られ、殺害されるという事件が起きた。

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発見したのはこの家の娘の一人、リジーだった。

午前11時ごろ、3階の自室で休んでいた彼女が目を覚まして階下に下りると、居間で殺害されている父親を発見。すぐに警察と医者、近所の住人らも駆けつけてきて、騒ぎのさなか2階で同じように殺されている継母アビーの死体も発見された。

父親の死体は斧で顔を11回も切りつけられ、鼻はそがれ左の眼球は真っ二つに両断されているという非常に凄惨なものであった。また、継母のほうも後頭部を19回殴りつけられている点から執拗さが伺えた。

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この家には先妻であり、リジーらの母親の兄弟とリジーの妹も一緒に住んでいたが、事件が起きたと見られる時刻、彼らは外出していて家にはリジーとメイドのブリジット・サリバンしかいなかったという。

この家では先妻が亡くなってから親子の関係が悪くなり諍いが絶えず、資産を誰が相続するかで諍いになっていた。

事件が起きた日は、この資産相続の家族会議が行われる予定だったという。

また、リジーの証言も二転三転しており、継母アビーの殺害時刻と父親アンドリューの殺害時刻に数時間の開きがあることなどから、リジーが一番の容疑者となった。




しかし、裁判の結果リジーは無罪となる。

ボーデン家がこの地の有力者であり資産家であったこと、現場の状況から相当な飛沫血こんが飛び散っていたと思われるが、彼女の周辺から物的証拠が見つからなかったこと、近所で斧を利用した別の殺人事件が起きたことなどから、推定無罪を勝ち取ったのである。

結局二人を殺害した犯人は不明となり、事件は迷宮入りとなってしまった。

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しかし、彼女が一番の容疑者であったことは変わらず、事件の後も彼女が殺害したのだろうという噂は消えることがなかった。その結果生まれたのが、前述の恐ろしい数え歌だったのである。

なお、この惨劇の起きた家は現在も残され、殺された二人の幽霊が出る家として観光地にもなっている。

内部には事件の資料と現場を再現した人形が置かれ、ゲストハウスに宿泊することも可能になっているが、高確率で何らかの心霊体験ができるらしい。

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(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)




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