2016年7月31日、元横綱の千代の富士こと九重親方が、すい臓がんのために逝去した。

千代の富士と言えば、筆者のようなアラフォー世代にとっては、知らぬ者のいない偉大なヒーローであった。

1970年9月場所に初土俵入りした千代の富士は、その後は先天的な肩の脱臼に苦しみつつも、その困難にも挫けず1981年の7月場所には、千秋楽で北の湖を勝利し、14勝1敗の成績で優勝を果たして、横綱の栄冠を掴んだ。

その戦績もさることながら、イケメンフェイスやスタイリッシュな肉体美が、女性や子供たちの注目を集め、横綱直後の当時の日本中には、千代の富士フィーバーが巻き起こることとなる。




こうして、子供たちにも愛されるヒーローとなった千代の富士は、彼らの愛する特撮や漫画などのメディアに度々登場することとなった。

まず、『ウルトラマン80』の第40話には、相撲を愛する怪獣ジヒビキランが、登場するため、同話の予告編ナレーションでは、千代の富士の名前が比喩として使用されている。

そして、当時の子供たちにとって、千代の富士を身近に感じさせたキャラクターがいる。それは『キン肉マン』に登場するアイドル超人の1人、ウルフマンだ。

彼は原作者のゆでたまご先生が、千代の富士をモデルに考案した超人であり、レスラーが大半を占めるキン肉マンに登場するキャラとしては、珍しい力士型の人物である。

ちなみに、ウルフマンという名前も千代の富士のニックネームである「ウルフ」から由来する。

ウルフマンは、初登場から連載終盤まで登場した超人であるが、これはモチーフとなった千代の富士が、子供たちにとって大人気であったために、読者である子供たちにも彼は印象深いキャラとなったため、作品には欠かせない存在となったと思われる。

ウルフマンは初登場時、キン肉マンを挑発するパフォーマンスとして、千代の富士を彷彿とさせる鋼の筋肉を披露し、読者たちに強烈なインパクトを与えた。その後、作中では残念ながら白星に恵まれる機会は少ないものの、キン肉マンファンには愛されるキャラとして存在し続け、連載終了後も彼のフィギュアが発売され多くのファンが購入した。

そして、現在連載中の『キン肉マン』新シリーズ本編には、ウルフマンが登場しない展開に多くのファンが、彼の再登場を望んだ。

しかし、そんなファンの声に応えるように2015年の『グランドジャンプ』には、ウルフマンを主役に配した読み切り作品が掲載され、大好評を得た(作中では、彼が新シリーズに登場しない理由や引退劇が描かれている)。




これから何十年、何百年の時間が経過しても『キン肉マン』が、日本が誇る国民的漫画として残るのは間違いない。そして、この作品に登場するウルフマンを通して、千代の富士の存在と、その偉業は未来の子供達に、永遠に語り継がれることであろう!

ちなみに、ウルフマンは、アニメ版ではリキシマンという名前に変更されているが、その本当の理由は、筆者にも長年の謎であった。しかし、7月31日にゆでたまご嶋田先生が投稿したツイートに、その理由が述べられていた。

それによると、アニメ版での名前変更は千代の富士に配慮した自主規制とのことらしいが、後に嶋田先生が親方と面談した際には「ウルフマンでもよかったのに」という言葉をかけたそうだ。

これも千代の富士の寛大な人柄を現した、心暖まるエピソードであろう。

平山賢司(サブカルライター)(ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)

千代の富士 キン肉マン

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