業界のウワサ

昭和特撮トンデモ話!その1

 1971年1月2日に放送開始された特撮番組『宇宙猿人ゴリ』という作品がある。

 これは、惑星Eから追放された天才科学者ゴリと助手であるラーの地球侵略のために送り込んだ怪獣達から、人類を守るため、正義のヒーロー・スペクトルマンが戦うという物語である。

 前述したように、番組当初はヒーローではなく、悪役のゴリが番組名という珍しい作品だったが、後に『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』、そして最終的には『スペクトルマン』へと改題された。




 今回、取り上げるのは、本作の第7話「黒の恐怖」および第8話「決斗!!ゴキノザウルス」の2話だ。タイトルに示されてる通り、このエピソードには、ゴキブリから生み出された怪獣・ゴキノザウルスが登場するのだが、何と事前に番組内で、撮影に使うゴキブリを一般の視聴者達から募集するというテロップを流してしまったのだ!

 そのため、フジテレビには、大量のゴキブリが送り届けられたそうである。その種類も様々で、クロゴキブリやチャバネゴキブリなどの成虫や幼虫、死んでる物はまだしも、生きてる物まで郵送されてきたそうである。

 大量のゴキブリを配達しなければならなかった当時の郵便局員の方々や、それに対応せざるを得なかったフジテレビ局員の心中はお察しする。

 前述したように、生きてるゴキブリも送られてきたそうだが、もしも封筒で送られてきたしたら、内部でガサガサと動いてたはずである。ゴキブリが大嫌いな筆者としては、その光景を想像するだけで、ゾッとしてしまう。




 今、これと同じ企画を行ってしまったら、大問題になってしまうだろう。良い意味でも悪い意味でも大らかであった昭和時代ならではのエピソードと言えよう。

 余談であるが、筆者が幼少時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で、「現在逃亡中の犯罪者の方募集!」という企画があって、誰も応募者がいなくて高田淳次さんが「こんなの応募してきたら警察に捕まるから来るわけないじゃないか!」とツッコミを入れて爆笑した記憶があるのだが、どなたか覚えておられる方はいるだろうか?

(平山賢司:サブカルライター ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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