妖怪伝説が生まれやすい場所というものがある。例えば、愛知県の入鹿池などはその好例である。この池には、妖怪「トランペット小僧」が出て真夜中に池の水面に浮きながらトランペットを奏でるという。この妖怪は某小説がモデルになって生まれたとも言われているが定かではない。
 また水中から「Uターン爺」が出てきて、車を追い抜きUターンをかけてくるという。どういう主旨でUターンしているのか不明だが、高速道路を逆走してしまう老人ドライバーのイメージがかぶるのは筆者だけであろうか。




 他にもジャンピング婆が、水面をジャンプしながら近づいて来るという。入鹿池は、元々農業用水池として1633年に、江崎善左衛門ら入鹿6人衆によって創られた人工のため池で、徳川家康の9 男で尾張藩主・徳川義直に許可された尾張班の事業として開拓されたものである。その為、多くの人の想いがため池に込められているのだろう。
 だがどうして、ここまで様々な妖怪伝説が創られるのかは不明である。
 あえて理由を考えるなら、慶応4年(1868年)長雨による「堤防決壊=入鹿切れ」による941人の溺死者が発生した大惨事である。「羽黒水水災記」によると、前代未聞の大災害であったと伝えられている。また、ため池の堤にあった古墳から発見された刀1OO振りについても、妖怪伝説が生まれる要因となったと推測できる。再び刀塚として埋め戻したが、潜在的な畏怖心は地元住民に残ったと思われる。

 この入鹿池に並び称される程の妖怪都市伝説の多いのが兵庫県六甲山である。
 この六甲山は、水木しげる氏の遠縁にあたるUFO研究家の武良信行氏らが多くのUFOやスカイフィッシュを撮影している事で有名である。武良氏らと共にUFOやスカイフィッシュの観測に励む坂本氏は、龍神伝説=スカイフィッシュと推理しており、妖怪伝説とUFO研究の交流の必要性が説かれている。ちなみに同地には、現代妖怪の噂も多く飛び交っており、その妖怪伝説のいくつかを紹介してみよう。

 一番有名ななのは「牛女(うしおんな)」である。牛女は兵庫の六甲、或いは西宮にいると言われており、屠殺場の娘で顔面が牛であるため、身内により自宅の座敷牢で監禁されていたが、兵庫の大空襲の際、逃走に成功したととも、遺体で発見されたとも言われている。
 この牛女は、災いを予言をしたとか、車をハイスピードで追ってくると噂されており、その出現場所として西宮の鷲林寺、六甲の某神社が噂された。その後、まったくのデマであるとわかったのであるが、鷲林寺に立てられた噂は酷く、同寺の荒神の祠を3回廻ると牛女が出てくるとか、八大龍王を奉ってある洞窟にいるとも噂された。

 その後も、深夜に訪れる者が後を絶たず、困り果てた西宮の鷲林寺では、
 「牛女は引越しました」
と張り紙を貼ったすると、意外にもこの冗談のような手法が効果があったようで深夜の来訪者は大幅に減ったと言われている。まったく、妖怪・心霊探検もよいが、迷惑にならないようにしてもらいたいものである。この本を読んだ鷲林寺さんの迷惑を考え、今後はこの噂をうち消して頂きたい。
 ところで、この「牛女」、人面を持ち、災害を予言する牛の妖怪「くだん」と若干性格は似ているが違う妖怪のようである。「くだん」の噂が神戸にもあった事から混同される事も多いが別種と判断した方がよいだろう。




 他にも、「ハッスルじいさん」の情報も寄せられている。NHKのドラマ「のんのんばあ」で水木しげるの少年時代を演じ、その後妖怪をモチーフにしたロックシンガーとなった「妖怪人生ゲビル」氏の友人からの情報によると、六甲にはリヤカーを高速で引き回し、車を追い越す妖怪「ハッスルじいさん」が出るというのだ。この情報は2002年頃に報告を受けており、昨今の「ハッスルブーム」とは別物である。小川直也がユニークなポーズと共に巻き起こした「ハッスル!!ハッスル!!」の大ブームも意外とルーツは、妖怪「ハッスルじいさん」かもしれない。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)




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