
関西地方で有名な現代妖怪と言えば、「牛女」である。
この妖怪は六甲山に出現し、車をハイスピードで追いかけてくると言われている。その形状は三種類あると言われている。まずは牛の体に女の顔を持っているバージョン(顔が女ではなく般若という変則バージョンもある)、女の体に顔が牛と言うバージョン、最後は丑三つ時に現れる女の幽霊のことも「牛女」と呼ばれているらしい。
山口敏太郎の著作で何度も紹介したが、食肉業で大金持ちになった家に牛の顔を持った者が生まれ、屋敷内の座敷牢に監禁されていた。神戸の空襲でその屋敷が焼けてしまい牛女は逃走、人間社会に復讐していると言われている。 監禁されていた異形の者が逃げ出して、人間社会に復讐するというストーリーLINEは、アメリカの都市伝説「メロンヘッド」「ピッグマン」と酷似している。戦後アメリカから伝搬してきた話(フォークロア)が日本に土着した可能性はあり得る。
「牛女」といえども元々は人間であり、歳をとってしまう。今は老婆の姿になってしまって「牛ババア」になっているらしい。妖怪が歳をとるという設定は、「口裂け女」が地域によっては「口裂け婆さん」になっていることと同じである。妖怪伝説は地域や時代よって変化する点が大変興味深い。
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なお、ATLASではいままでに何度か牛女を題材にしたアーカイブがある。「牛の首」伝説と「牛女」の関連性、心霊スポット扱いされたお寺が対策「牛女は引っ越しました」 、六甲山の妖怪「ハッスルじいさん」「牛女」 、牛女の暗示、新潟北陸地震、「牛女」が金沢で目撃された、大震災の前兆、「牛女」を見た人々、牛は地磁気を感知して地震を予知する、熊本で広がる「牛女」の噂、などである。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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