これは戦前から噂される都市伝説である。現在の60代~70代の方が学生時代に聞いたと証言する事が多い怪談である。

怪人「赤マント」は、学校の古いトイレに入ったときに出るという。学校によっては、奥から○○番目と特定の個室に出る事もある。用を足していると、どこからかともなく不気味な声が聞こえる。

「赤い~マントはいらんか~」

まるで消え入りそうな小さな声だ。このとき、

「いる!!」

というとまるで赤いマントを身にまとったかのごとく、自分の血で衣服を赤く染める事になる。つまり、怪人「赤マント」に殺されてしまうのだ。

この「赤マント」の怪談にはいくつかのパターンがある。まずひとつめは、怪談を信じない婦人警官(女教師のバージョンもある)が殺されるパターンである。「赤マント」が出るという噂のある学校の女子トイレに、婦人警官が一人で張り込む。彼女が1番奥の個室に入り待っていると

「赤いマント着せましょか?」

という不気味な声がどこからともなく聞こえてくる。(いったいどこから聞こえてくるのだろう)気性の激しい婦人警官は、こう答えた。

「着せれるものなら着せてみなさい」




その瞬間、婦人警官の悲鳴があがった。仲間の警官がかけつけて見ると血まみれの彼女の遺体が発見された。

他にもこういう怪談もある。

ある学校で毎晩、誰も入ってないはずの学校のトイレから声が聞こえるという噂があった。実は柔道部の連中がいたずらでトイレに籠もり、他の部活動の連中を脅かしていたのである。そうとは知らない剣道部の選手が、日本刀を持ち出しトイレの幽霊退治に出かけた。

そして、声の聞こえるトイレに日本刀を突き刺したのだ。もんどりうって倒れる柔道部員。だが時既に遅し、柔道部員はそのまま命を落としてしまった。それ以来、本当に柔道部員の霊が、そのトイレに出るようになったという。

この「赤マント」は別名「赤いマント」、「赤い紙、青い紙」、「赤いちゃんちゃんこ」、「赤い半纏」、「赤い手 青い手」「赤い髪、青い髪、黄色い髪」などと呼ばれているが、いずれも大筋同じ内容である。

中には青とか、黄色という選択肢が増えている場合もある。例えば、青い○○を選んだ場合なら、血を吸われて青い顔になって死亡したり、黄色を選んだ場合、助かるか、汚物まみれになって死亡したりするという。どのバージョンも色に纏わる怪談となっていることが多いようだ。例外的に設定に、「赤マント」は女性のお尻にかぶりつき、血を吸うというのがある。

この「赤マント」の古い記録は、昭和10年代に、京都の学校に出たというのが最古と言われている。また戦前には、東京に謎の怪人・赤マントが現れ、警察が出動する騒動があった。この実際に事件に発展するあたり、「口裂け女」と酷似している、この「赤マント」の噂の成立の要因はどこにあるのだろうか。

その設立原因はいくつか唱えられているが、「紙芝居のキャラ」にあるという説はなかなか有力であるという。関西地方の紙芝居に、シルクハットに蝶ネクタイ、黒の燕尾服という洋装の怪人が出てくる人気作品があり、その洋装が珍しい昭和初期にそのキャラクターが都市伝説となったというものである。
また、マントを翻した軍人(特に憲兵隊)に対する恐怖心からうまれたという説もなかなか興味深い。現代で言うなら、帝都物語のキャラクター加藤のイメージがぴったりくるのであろうか。他にもレッドパージや、共産主義者への偏見から生まれたという説、女子トイレに残る経血の跡から怪談が生まれたという解釈もあるようだ。

ちなみに、最近は「赤いコート」を来て歩いていたら、変質者に間違われ、逆に自分が襲われたという噂も広がっている。これなどは米国コロンバイン高校で発生した銃乱射大量殺人事件(俗に言うトレンチコートマフィア事件)や、名古屋で起こった赤い割烹着を着た通り魔事件からイメージを受けて発生したものかもしれない。

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