海外の文化をもって「韓国が起源である」と主張する、いわゆる『韓国起源説』を耳にしたことのある人は多いかもしれない。
主に中国や日本の文化に対して韓国側から主張されるそれらの説は、歴史的な根拠や出典などがきわめて怪しいものが多く、当の中国と日本からは殆ど暴論として見なされている。ネット上では、韓国語で「我々」を意味するウリという語をもじり、「ウリジナル」などと揶揄される場面が多く目立つ。
日本に対してのものを挙げてみても、歌舞伎、茶道、盆栽、ソメイヨシノ、寿司、和牛、折り紙、日本酒、侍、切腹、空手、剣道と、現に主張されたことのある例だけでもきりがない。
これらは、単に古代の交易によって朝鮮半島から日本へ伝わったというだけでなく、韓国にあったものをルーツに日本で別途発達したものであると説明されている。いわば、日本の象徴的な文化の数々は韓国無くては生まれなかったと言わんばかりだ。
さて、そんな様々な”韓国起源”が存在する中で、特に目を疑うのが「忍者」である。
主張によれば、紀元前57年から935年までの新羅の時代、門閥や学識を持ち外見も整えていた青少年たちによって作られた民間修養団体「花郎」(ファラン)の中に「スルサ」と呼ばれる特殊部隊がおり、このスルサの戦士の何人かが日本へ亡命したことで日本に「忍者」のアイデアがもたらされた、とのことだ。
忍術とは朝鮮半島から日本へ導入された韓国起源の武術であり、また多くのコリアンが忍者の里である甲賀や伊賀へ移住したのだという。
これら忍者が韓国起源であるという主張は、2011年ごろに大きく注目され出したものであるようだ。フランスで韓流ブームが巻き起こっていたこの頃、フランスの韓流ファングループ「コリアン・コネクション」によって開催された韓国文化フェスティバル「Korean Connection 2011」にて、このような忍者・忍術のルーツや起源が主張された。
この主張については、当然ながら歴史的な経緯や戦闘部隊スルサそのものの実在の有無などの反論はあるものの、何より象徴的な点はいわゆる「フィクションの中の忍者」をイメージしたような主張内容というところにある。
多くの日本人は、漫画や時代劇などで描かれる忍者が実際の忍者とはおおよそ異なったものとしてセッティングされているということを知っている。忍者とは隠密を行なう諜報員(スパイ)であり、あくまで戦闘部隊ということではない。なお、先のイベントでは、「忍術パフォーマンス」なるものまで催されたという。
そもそも、日本は2000年からパリで行なわれている「Japan Expo」という日本文化博覧会を開催している。その博覧会は日本以外のものも紹介されることがあり、特に韓国からは積極的に絡んでくることが多かった。そこでは、韓国政府の後押しもあって多くの韓国の団体が広報活動を大規模に展開していったという。
また、この年のJapan Expoに先立って行われたのが前述の「Korean Connection 2011」であり、その開催に加わっていたa.s.c.a.m. ninjutsuと称する忍術団体によって、忍者が韓国起源であるという上記の主張が大々的に登場した。同年には、剣道や剣術などを韓国起源と主張する海東剣道という団体も加わっていたことから、こうした団体が協力関係となり、その際に忍者・忍術が「武術の一種」と形成されてしまった可能性はある。
因みに、忍者が韓国起源であるという主張はこれ以前から見られる。
1999年には、ファッション評論家の金硝子により、「屋根にふらりと飛び上がって行って消えたり、素早く服を着替えて完全に他の人のように変装したりする」という忍術について触れたコラムが書かれている。
ここでも、フィクションにおける忍者をイメージしているような誤認が見られているのが興味深い。創作であることを承知の上で設定やデザインを多様に展開させる日本であるが、その日本以上に忍者に対し憧れと願望を抱いているのは韓国の方なのかもしれない。
【参考記事・文献】
仏でも韓流ブーム、パリのイベントに5千人参加
https://www.wowkorea.jp/news/read/083550.html
【韓国起源説】日本の文化を盗み寄生する韓国 概要編1
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar416413
韓国の忍術団体「日本の忍者は韓国が起源だ。韓国人忍者が甲賀や伊賀の里に移住した」
https://ameblo.jp/michiru619/entry-11730919518.html
[김유리의 일본패션 엿보기]만화 ‘세일러 문’ 주인공
https://megalodon.jp/2007-1023-0335-06/www.donga.com/fbin/moeum?n=dstory$j_118&a=v&l=30&id=199909260088
【文 ZENMAI】
画像 ウィキペディアより引用