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「陰謀論者ではない」新国営放送トップ候補の政治家、地球平面説を肯定し波紋が

ルカーシュ・マチャラは、政府が管理する新しい国営放送局、スロバキア・テレビ・ラジオ(STVR)を率いる可能性のある候補者の中に名前が挙がっている政府高官だ。どうやら彼は、地球が球体であることを確信していないようである。

ギリシャの哲学者たちが初めて地球は平らではないと説いてから25世紀、イベリア半島の探検家たちが”地球が確かに球体である”ことを実証してから5世紀、そして無数の宇宙船が私たちの住む地球の写真やビデオを撮り始めてから50年以上経った現在、マチャラは4月29日のテレビ番組『Reportéri』(レポーターズ)で、ジャーナリストのピーター・ニャトコから、地球が平らだと信じている人たちに現在の公共放送局RTVSのプラットフォームを与えるべきかどうか尋ねられた。

マチャラは、そうすべきだと答えた。それと同時に、私たちの誰もが、本当はどの程度そのことについて理解しているかについて考えを巡らせた。

「地球が丸いことは証明されていますか?あなたは宇宙へ行ったことがありますか?私も知りません」

政府は『ルポテリ』を放送しているRTVSを中止し、連立与党が影響力を行使できるSTVRに置き換えようとしている。連立政権は、「現在の公共放送は偏向しており反対意見にスペースを与えない」と主張している。

政府によって承認された解散とSTVRへの置き換え法案は文化省によって作成された。同大臣のマルティナ・シムコヴィチョヴァー(SNS名)は、民放テレビの元司会者で、フェイスブックで自身の偽情報・親ロシア派テレビチャンネルを運営している。




プーチンを崇拝するマチャラは、過去にいくつかの陰謀説を流しており、「イルミナティ」がヨーロッパに移民を送り込み、ヨーロッパを乗っ取ろうとしているといったものを主張した。

マチャラは以前、スロバキアの右派政党である国民党と、マリアン・コトレバの新ファシスト政党から離党した別の極右政党であるレプブリカの党員だったが、コロナウイルスや、イスラエルとウクライナの戦争を通じて世界征服を企む「ユダヤ人マフィア」とされる人物に関する陰謀論も流布していた、とプラウダ日刊紙は報じている。

マチャラの最新の主張に対して、1999年に宇宙へ行き、地球の周回軌道で8日間過ごしたスロバキアの宇宙飛行士イワン・ベラは、リフレッシャーのウェブサイトのために、地球は確かに丸いことを確認したと反論している。

マチャラは、放送された番組に対して不満を抱いた。ソーシャル・メディア・ネットワークのテレグラムで彼は、ジャーナリストは自分を陰謀論者として巧みに描いたと述べた。そして、放送されたレポートは公共放送が「客観的ジャーナリズム」からかけ離れていることを示唆しているとも付け加えた。

「私は陰謀論者ではない」と彼は宣言し、もうこの放送局とは連絡を取らないと主張した。5月3日には、RTVSの従業員数人が国会議員に公開書簡を手渡し、公共放送に関する法案に賛成しないよう求めた。

「スロバキアは、ジャーナリストのヤン・クツィアクと婚約者のマルティナ・クシュニロヴァが殺害された国でもあることを忘れてはならない。事件から6年、メディアへの攻撃は続いています」と書簡には書かれていた。

※ヤン・クツィアクは、スロバキア国内で活動する複数のイタリア人実業家とイタリアを拠点とするマフィアとの政治的癒着疑惑について調査を行なっていたジャーナリストである。2018年に、自宅で何者かに銃で撃たれ死亡し、現在も犯人はわかっていない。

【文 ナオキ・コムロ】

画像 astrosystem / Adobe Stock

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