事件

ユタ州の砂漠から発見され、そして消失した謎の金属柱「モノリス」の謎

2020年11月18日、アメリカのユタ州のレッド・ロッグ砂漠に、謎の柱状のオブジェが発見されて話題となった。

高さおよそ3.6メートルの金属でできた柱とされるこの物体は、ユタ州野生生物資源部がオオツノヒツジをヘリコプターで上空から確認する際に発見したと言われており、映画「2001年宇宙の旅」に登場する石柱状の物体「モノリス」に似ていたことから、同様に「モノリス」と呼ばれ広く知れ渡るようになった。

ユタ州当局によって23日に発表されたこの建造物の存在は、当初正確な場所までは明かされていなかった。しかし、25日にはそのモノリスの横に立つ人間の写真がSNS上で現れ始め、以後多くの人々がその場所を特定し訪れたのである。

発見当初からモノリスは、誰がいつ設置したのか、何のために設置したのかが謎のままとなっており、地球外の存在が埋め込んでいったのだと説明する者までいた。しかし、それから数日後の27日の夜、モノリスは忽然と姿を消した。

このモノリス消失については、ユタ州土地管理局により当局の撤去ではないという報告があったため、何らかの一団が持ち去ったのではないかと考えられていた。しかし、翌月の12月1日になって、ある驚くべき写真がSNS上に投稿された。

写真家ロス・バーナーズによって投稿された写真と説明によると、彼が27日に現地を訪れたその夜、4人の男たちが突然現れ、モノリスを横倒しにして解体し、手押し車に乗せて持ち去って行ったのだという。

この同日には、アンディー・ルイスという人物により「我々がユタのモノリスを撤去した」と題した、手押し車で運び去られるモノリスを映した映像が動画サイトにアップされた。さらに、ユタ州の都市モアブに住むシルバン・クリスチャンセンという人物が、モノリスを撤去したグループの一人であるとの主張を展開するに至った。

しかしながら、いずれの証言も一致したものであるとの確証が得られておらず、何より撤去された理由など詳細については何も説明がなされていないため、謎だけが残ってしまっている。




そもそも、このモノリスが建てられた由来として、有力視されていたのはアート作品だったのではないかというものである。当初上がったのは、厚板彫刻で知られていたジョン・マクラッケン(2011没)の作品ではないかというものであったが、同氏のギャラリーがこれを否定し、彼のオマージュ作品として別のアーティストが建てたのではないかとも考えられた。

その後、砂漠のとある場所にトーテムの彫刻を建てたことでも知られていたペテシア・ル・フォンホークの名前もあがったが、「これは違う」と関与を否定し、結局アート作品であったとして誰のものであるかが謎のままとなった。

辺鄙な場所に芸術作品が設置されるというケースは珍しいことではなく、彫刻家ウォルター・デ・マリアがニューメキシコ州カトロン郡の砂漠に作った『ライトニング・フォールド』や、マーティン・ヒルとフィリッパ・ジョーンズがニュージーランドのワナカ湖に作り上げた『シナジー Synergy』などがある。

理由も何一つわからないユタ州のモノリスであるが、ただ一つ確かであったことは、特定によって訪問者が増えたことで、トイレの跡やタイヤ痕など自然の外観を崩してしまう状態が続いてしまうことであった。

先の写真家バーナーズは、モノリスを撤去したグループから「砂漠にごみを捨ててはいけない」という発言を耳にしたと言い、撤去グループの一人だと主張したアンディーは、「人間が大地と生態系に及ぼす影響を懸念している」と紙面で語っていたという。

この発言からは、自然に対する人間の影響を唱える為にモノリスが建てられたのか、それとも人間が作り出したモノリスのせいで自然に影響を与えてしまっているという危惧を唱えたものかは定かではない。

いずれにしても、モノリスの存在によって結果的に迷惑を被ったことは確かだったと言えるだろう。

【参考記事・文献】
砂漠に突如現れた謎の「モノリス」が消失したことが判明
https://gigazine.net/news/20201130-monolith-utah-disappeared/
米ユタ州の謎のモノリス、訪問者が続々 場所は秘密だったが……
https://www.bbc.com/japanese/55097614
ユタのモノリス、忽然と消える
https://www.gizmodo.jp/2020/11/utah-monolith-disappeared.html
米ユタのモノリス、消失の謎解明「砂漠にごみを残すな」
https://www.afpbb.com/articles/-/3319155

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用 CC BY-SA 4.0