ロドリゴ・ドゥテルテとは、2016年から2022年までフィリピン第16代大統領を務めた政治家である。
1988年に同国南部ミンダナオ島のダバオ市市長に就任して以来市政トップの座に君臨し続けた彼であるが、大統領選挙で当選を決めた際に国内メディアから呼ばれた異名は「フィリピンのトランプ」であった。その理由は言わずもがな、彼の過激な発言の数々によるものであるが、国内の人気は根強くいっときには9割近い支持率を誇っていた。
彼はその活動も過激であることで知られていた。市長時代には、警察官への手本としてパトロールした際に犯罪者と思われる相手を自らの手で殺害していたことがのちに明らかとなり、また強姦殺人容疑の中国人男性をヘリコプターから投げ捨てたことがあるという発言もしていたという。
大統領選挙の意気込みを語る際、クリスマス直前でのビデオメッセージで発言された「犯罪者達よ、これがお前たちの最後のメリークリスマスだ」というセリフは国内で大きな話題を呼んだ。
そんな彼を最も象徴する出来事と言えば、彼主導のもと進められた麻薬犯罪撲滅作戦、通称「麻薬戦争」だろう。麻薬に絡む犯罪が絶えなかったフィリピン国内に対して、彼が行なったこの作戦は想像を絶するものであった。横行する麻薬問題に対してとられたその作戦とは、麻薬犯罪容疑者たちを容赦なく殺害するというものであった。
彼を追っていたある記者によれば、ドゥテルテは「麻薬中毒者を喜んで殺したい」と話していたといい、少なくとも警官によって6000人が殺害されたと言われており、中には父親が麻薬密売の疑いがあるとして家宅捜索した際に3歳の子どもが巻き添えで射殺された例もあった。
この作戦は超法規的に行なわれ、殺害を実行した警官は責任を問われることがなかった。このことについては、国際刑事裁判や国連人権理事会が動くなど国際的な批判の的となったが、それでも国内の支持は高かったようだ。
先述したようにドゥテルテは、過激な発言が目立つ人物でもあった。かつて統治国であったアメリカに対しては「同盟国として信用できない」と発言、当時のオバマ大統領に対しても「地獄へ落ちろ」と言い放ち、また欧州連合(EU)に対しても「地獄は満員だから煉獄を選べ」と罵倒した。
その一方で、日本に対しては良好な関係を続けており、訪日においての当時の安倍首相との対談については「とても有意義だった」と言い、安倍が辞意表明をした際は、フィリピンの外相が「彼はフィリピンの良い友人、ドゥテルテ大統領の親友」とSNSで投稿していたほどであったという。
また、安倍はドゥテルテ邸に招かれた唯一の外国要人であったとも言われており、寝室にまで案内するその様子はメディアでも取り上げられた。ただ、彼がかつて「自分はゲイだった(今は治っている)」といった発言をしていたことも相まって、安倍と友好が深かったのは”そういった理由”があったのではないかとネットの一部で囁かれたこともあった。
【参考記事・文献】
フィリピンのドゥテルテ大統領、「かつてはゲイだった」が「治った」
https://www.cnn.co.jp/world/35137888.html
安倍首相は「ドゥテルテ大統領の親友」 フィリピン、ロクシン外相がツイート
https://www.sanspo.com/article/20200828-UW24OFYRVFMOVMH4YGQO6ZFAGM/
「フィリピン麻薬戦争」死者6000人超、なぜ支持やまない「俺たちのドゥテルテ」
https://globe.asahi.com/article/14550043
フィリピン「麻薬撲滅戦争」、3歳児も犠牲に 国連委が実態調査を決議
https://www.bbc.com/japanese/48959741
「フィリピンのトランプ」はなぜ選ばれたのか
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/110879/051000339/
【ウホッ、いい男…】ドゥテルテ大統領、安倍首相を寝室に案内 親密さをアピールか
http://blog.esuteru.com/archives/20007949.html
(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相と(2018年7月15日)ウィキペディアより引用