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「ちびまる子ちゃん」最終回都市伝説があまりに淡白な理由とは?

国民的アニメの一つとして知られる『ちびまるこちゃん』は、2018年に亡くなった作者さくらももこの少女時代を投影した主人公まる子と、その家族やクラスメイトが織りなす日常漫画作品だ。

現実の文化レベルをある程度踏襲する『サザエさん』や『ドラえもん』などとは違い、作者が実際に小学生時代を過ごした70年代の日本が舞台のベースとなっており、また家族をはじめ「はまじ」や「たまちゃん」など、実在した人物をモデルとしていることでも知られている。

さて、マンガ・アニメ都市伝説として定番である「最終回」。当然、原作ではそのようなものは存在していないが、都市伝説として語られるその内容は、まる子の祖父友蔵が亡くなったことに始まる。家族たちが友蔵の遺品整理をしていると、ずっと以前に友蔵が購入していた古い株券が発見される。


その株券を調べると、なんと現在では信じられないほどに高騰しており、それを売って大金持ちになり家族は幸せに暮らしました、という具合である。他の都市伝説が不穏であったり悲惨であったりする中で、『ちびまる子ちゃん』の最終回として語られるこの話は、実にあっさりしており、しかもオチらしいオチがない。

なぜ、このような内容でとどまっているのか。それは『ちびまる子ちゃん』の作品自体の特殊な性質に関わっていると考えられる。

『ちびまる子ちゃん』は、各キャラクターの個性が非常に強い。アニメでは、当初はレギュラーだったのに影が薄くなったために存在が抹消されてしまったクラスメイトもいると言われている。

そんな個性派ぞろいの『ちびまる子ちゃん』は、極度に自己中・わがままといった性格的に異質な、あるいは発想がひねくれたキャラクターも目立っているため、皮肉や辛辣なツッコミという応戦が非常に多く、ほのぼのとした日常や単なるドタバタとも異なる特殊な世界観となっているのだ。

また、一部キャラクターのモデル化に対する事情も関係しているだろう。モデルが存在するキャラクターの中には、実際と大きく性格が変えられたものがあり、中でも「担任の先生」や「友蔵」は、暴力教師・意地悪な爺さんであったという。これは、実際はとても嫌っていた人物であったと作者も証言していることから、作中では理想的な姿として描かれたのではないかと考えられている。




このようにしてみると、実際の設定や背景そして漫画内のギャグの性質上、強烈な最終回を迎えることが困難であるように思える。『サザエさん』や『クレヨンしんちゃん』果ては『ルパン三世』が、死や離散、そして妄想による陰鬱的、悲劇的な最終回として語られているのに対し、『ちびまる子ちゃん』はその成立背景や作者の意図がダイレクトに明かされており、それを超えるギャップが生じさせにくかったのかもしれない。

死から始まるとはいってもそれ自体が悲惨な事情でもなく、結局のところ原作の域を超えるような最終回に仕上がらなかったのではないだろうか。

ただ、一方で次のようにも考えられる。先述した通り、作者によれば実際の祖父は家族から嫌われており、葬儀では家族の誰も泣かなかったほどだという。最終回都市伝説では、その祖父が亡くなり、そして家族が幸せに暮らすというものとなっている。つまり、現実的な理想あるいは願望が、この最終回において達成されているとも言えるのだ。

ある意味では、『ちびまる子ちゃん』の最終回都市伝説は、作者さくらももこに憂慮した形で生み出されたものであったのかもしれない。もっとも、作品内のキャラクターの多くが実在の人物を基にしていることから、あまりに過激で陰湿な内容を語ることに抑制がかかったといえばそれまでである。

【参考記事・文献】
・ちびまる子ちゃんの都市伝説や怖い謎&裏設定18個を総まとめ
https://wondia.net/chibimarukochan#98

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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ちびまる子ちゃん 18