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裏設定・都市伝説がつながる…「クレヨンしんちゃん」アナザーストーリー

数あるマンガ・アニメの裏設定や都市伝説の中でも、漫画家臼井儀人の代表作『クレヨンしんちゃん』(略称『クレしん』)に関するそれは、他の作品に比べてとても興味深いものを持っている。

マンガ・アニメの都市伝説は、ある部分の設定を切り抜いて取り上げられることが多く、それぞれが独立して説かれていることが普通だ。しかし『クレしん』は、数ある説の多くがリンクしていると考えられる事例が多いのだ。

代表的な都市伝説として、「しんのすけが既に死亡している」という説がある。主人公野原しんのすけは既に亡くなっており、そのことにショックを受けた母みさえが、しんのすけの遺品であるクレヨンを用いてしんのすけがいる日常を空想して描いたというものである。

そのことに気を使った周囲の人々が、みさえの話に合わせているとも言われている。これは、最も知られた『クレしん』都市伝説であるが、この他の『クレしん』にまつわる都市伝説はこれをベースにでも置いたかのように関連するものがいくつもある。

アニメに登場した「しんこ」という幼女のキャラクターがいる。このキャラクターは、自身をしんのすけの妹ひまわりの友人と称しているが、その言動から「ひまわり本人」ではないかとも言われている。あまりに親から叱られていたため、自分が本当にこの家の子どもであるかを確認するために未来からやってきたと称しているのだが、これは実際に成長したひまわりであり、いまだ妄想から抜け出せていないみさえに干渉している証拠ではないかと考えられているのだ。




また、しんのすけの友達の中で最も謎めいており素性が不明な「ボーちゃん」。本名についても諸説あり、その両親についても本編では一度も顔を明かされていない。ボーちゃんの両親については、公にできない仕事をしている、宇宙人であるというような説があるが、中でも衝撃的なのは「しんのすけを事故に巻き込んだ」というものがあるということだ。

しんのすけ死亡説での原因は、トラックにはねられたためだとよく説明されるのだが、ボーちゃんの両親の乗る車に轢かれてしまったというものもある。我が子の命を奪ったという憎しみから、みさえがボーちゃんの両親の顔を描かないようにしていたというのである。

そして、しんのすけの死亡説を補強するものとして語られるのが「存在しない25話」である。『クレしん』は連載誌にて各話ごとにナンバリングされていたのだが、24話目が公開されたあとの次号では26話目となっているのだ。この欠番となった25話については、編集側のミスとされているほか、内容があまりにも過激であるため急遽ボツとなったという説がある。

すなわち、25話こそがしんのすけ死亡となったナンバリングであり、24話目までがしんのすけの生きていた頃の話で、26話目以降がみさえの妄想なのだというのである。

マンガ・アニメの裏設定や都市伝説を見ると、二次創作というものの底力を強く垣間見ることができる。二次創作において、例えばあるキャラクター同士を自分好みに恋愛感情を交えた関係にする「カプリング」という文化では、作中の些細な設定や一場面から互いの共通項などを見出す例が見られ、そこから原作の描写を通して独自の設定を熟成させていく。

そうしたイマジネーション能力の延長として裏設定や都市伝説が生み出され、そしてそれらが多くの人々に共有・受容される下地を作り上げているといっても過言ではないだろう。『クレしん』は、その中でも特に都市伝説ごとの連結を可能にし、一つの壮大な二次創作的アナザーストーリーとして成立しえるだけのポテンシャルを持った、珍しいケースであると言える。

【参考記事・文献】
・クレヨンしんちゃんの都市伝説!しんちゃん死亡説など怖いもの・泣けるものまとめ
https://bibi-star.jp/posts/1239
・ボーちゃんの本名を特定!母親と父親の正体と出てこない理由は?
https://animebolg.com/bochan-family/#toc15

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 新クレヨンしんちゃん(13) (アクションコミックス)