人体発火現象とは、人間の体がなんの前触れもなく突然燃え上がる現象であり、世界各地で確認される超常現象である。過去300年の間に、200~300件以上の報告があると言われている。
人体発火現象の報告は中世にまで遡る。1470年イタリアの騎士ポロヌス・ヴォルスティウスが、自宅でワインを飲んだ直後、突然口から炎を吐き出し全身が炎に包まれたという記録が残っているという。また、この現象を広く世に知らしめたのは、1853年に小説家チャールズ・ディケンズが発表した小説『荒涼館』であると言われている。作中で、登場人物が自然発火により焼け死ぬという内容となっており、批評家の間で物議をかもした。
人体発火を体験しレポートした人物もいる。1835年、アメリカのジェイムズ・ハルミトン教授は、自宅で左足に激しい熱さと激痛を感じその直後左足が燃えだしたという。炎の大きさは10セント硬貨ほどで、なんとか両手で火を包み込み鎮火に成功した。のちに医師の診察を受けると、確かに火傷を負っていたものの、履いていたズボンは焦げただけであったという。
現代でもなお報告されている人体発火現象であるが、周囲の家具などに類焼しない、人体が灰になるほどに異様な火力で燃える、手あるいは足や膝下といった部分が残る場合がよく見られるといった特徴がある。また、ヨーロッパやアメリカを主として発生している、被害者が女性もしくは高齢者である場合が多い、といった興味深いデータもある。
現代までに、人体発火現象の原因として様々な説が唱えられ、アルコールの過剰摂取、人体帯電説、更には火を発生させる超能力であるパイロキネシス説まで持ち上がった。そのような中で、最も有力とされているのは『ろうそく効果』である。これは、人体に火が点くと体内の脂肪が燃料となって燃え続けるというものであり、異様に高い火力で燃え上がることや、脂肪が少ない足などが残るといった説明が可能となっている。ただし、あくまでこれは点火されたあとの原理であり、発火そのものの説明はなされていない。
人体発火現象は、現在までに映像でおさめられたケースがなく、動物で発生した事例も存在していない。2000年代に入っても、いまだに各地で報告がなされており謎を秘めている。ある日突然、自身の身が炎上しないよう読者もくれぐれも注意していただきたい。
【参考記事・文献】
・朝里樹『世界現代怪異事典』
・人間の体が突然燃える「人体自然発火現象」の謎を科学的に検証する
https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52296117/
・人体発火現象は嘘?その謎を解くカギとなる12の驚くべき真相
・人体自然発火現象の真相まとめ!日本でも突然発火した事例がある?
https://toratora-media.jp/archives/20391
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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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