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動物を食い荒らし人格も変える憑依妖怪「ヒサル」の正体とは?!

ヒサルは、「ヒキサル」などとも呼ばれる憑依妖怪である。近年になって多く報告されるいわゆる現代妖怪であり、伝承や報告の地域などによってさまざまな呼び名がなされている。

ヒサルにとり憑かれた猿は、仲間を食らうほどに狂暴になり、多くの野生の動物の死骸が見つかるという。猟師の話では「ヒキサル」が出たら向こう2~3年は猟ができないとも言われており、とり憑かれた猿は銃で撃っても簡単には死なないという。

他の野生動物あるいは人間にも”感染”するとされており、ヒサルにとり憑かれた猿の死骸を発見しても触れてはいけないという。こうした特徴から、各地に伝承が残る怪力で獰猛な大猿の妖怪「狒々」に由来する存在ではないかとも考えられている。

また、ネットではヒサルと名前の似た「ヒサルキ」という名称の、得体のしれない怪異が各所で語られている。それらの話では、動物の死骸が異常な状態で発見される、あるいは攻撃的であるなど異常な行動をとる人物が登場する、といった点で共通する部分が確認できるのが特徴だ。

これらの多くは、ヒサルキを実体不明な存在として書かれているものの、中には話中の特定の人物を指してヒサルキと称する話もある。いずれにしても、何らかの形で被害を受ける「動物」と憑依ともとれる登場人物の「異常行動」の共通項が見られており、何かしら関連する現象として括られている。




作家山口敏太郎は、昆虫学者・佐藤清明の著書『現行全国妖怪辞典』に記されている「病人に憑き無神経にさせる」という岡山の妖怪ヒーヒザルとヒサルが関係する妖怪であると考察しており、ヒーヒザル・ヒサルとは動物を媒体として人間に感染するなんらかの寄生虫に基づく現象であるとの説を唱えている。

また、著書に記される無神経というのはゾンビ化ともとれるということだ。実際に現在では、人をキレやすくする寄生虫トキソプラズマや、他の昆虫をゾンビ化し操る菌類などの存在もよく知られるところとなっている。

猿は古くから、猿神などと呼ばれるように憑かれると霊力が非常に強まる存在とされてきた。また、「去る」という音とも通じることから魔除けとして頭骨や手を掲げたり祀ったりするという事例は各地に残っている。また、憑物に対する秘薬として頭の黒焼きや蒸し焼きが特効薬として高値で売買されていたという記録もあるという。

憑物を避けたり祓ったりするための猿が、新たに憑物を呼ぶ存在ともなり得ているとはなんとも皮肉な話だ。

【参考記事・文献】
・小松和彦/常光徹『47都道府県妖怪伝承百科』
・「キレやすい人」はトキソプラズマ感染率が高い?
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180511/med/00m/010/005000c

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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用