6月中旬から後半にかけて東京湾北部で大型のクジラの目撃情報が相次いでいる。
東京海上保安部によると、最初の目撃談は6月18日の朝、東京都江戸川区の葛西沖で運行中の漁船からの目撃情報が寄せられたほか、6月25日正午までの一週間に計9件の情報が寄せられているという。
特に6月は最初のクジラの目撃のあった18日朝には、大阪府北部を震源地とする震度6の大阪地震が発生しているほか、その後も千葉県や神奈川県など関東地方で震度3~4の地震が発生していて、相次ぐクジラの目撃は「大地震の前兆」ではないかと噂になっている。
現在、クジラと地震の関係は科学的には明らかになっていないが、実はクジラやイルカなどの鯨類が東京湾近辺で目撃されることは決して珍しいことではない。
今から45年ほどの1974年の12月、東京湾に繋がっている隅田川で4匹のイルカが目撃されるという事件があった。当時の記事によると、暮れも押し迫った12月21日の朝、東京都中央区東日本橋二丁目と東岸の墨田区両国一丁目を結ぶ両国大橋からイルカが4匹遊泳している姿が目撃されていた。
最初の目撃者は、両国大橋近辺を毎日散歩している男性で最初はイルカだとは気がつかず、何かの怪物が泳いでいると勘違いしたというが、よくよく見るとイルカの群れであり、すぐにマスコミへ連絡したという。
そして翌日の新聞には早くも「イルカの出現は地震の前兆か?」との予測記事も登場していたが、翌1975年は6月に東京から遠く離れた北海道東方沖で震度7の地震があったこと以外は日本国内で特に大きな地震は観測されていない。
つまり客観的に見ると、イルカの出現が地震の前兆だったと言い張るには少々無理がある。
それでもなお、仮にイルカやクジラの出現が大地震の前触れでなくても、いつ発生するかわからない地震には十分に注意したいところだ。
(安坂由美彦 ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)
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