Oさんに対し、Yさんが常々不思議に思っていることがあった。そんな生活を送っているのに、Oさんがどうやってプロポーションを維持できているのか、不思議でならなかった。
当時はボディコンのような体のラインを強調した服が流行った時代であり、そうした服を着る機会の多かった女性は体型の維持には並々ならぬ努力をしていた。
Yさんもそうした努力は怠らなかった。食べ過ぎたり飲み過ぎたりした翌日はフィットネスやランニングで汗を流すことを欠かさなかった。だが、Oさんがそうしたことをしているようには思えなかった。彼女の日々にそんなことをしている時間などなさそうに見えたからだ。
あれだけ遊び歩いるにも関わらず、体系は崩れないどころかますますスタイルは良くなっているような気さえした。他の仲間たちも不思議がっていたが、だれが聞いてもその秘訣は教えてくれなかった。
ある日、二人で飲みに行った時に珍しくOさんが酔いつぶれた日があった。バーのソファ席で眠ってしまい、いくら揺すり起こしても起きなかった。そんなOさんを見てYさんはある悪巧みを思いついた。
カバンを調べ、Yさんの体型維持の秘密を探ろうとしたのだ。
カバンを開いてみると、中にあったのは手帳とポーチだけだった。手帳を見てみたが、仕事と遊びの予定がぎっしり書き込まれているだけでヒントになりそうなものは何もなかった。
ポーチを開けてみると、化粧品にまぎれ小さな包みが出て来た。薄黄色の紙の包みで、見覚えがあるものだった。Oさんが胃薬だと言って飲んでいるのを何度も見たことがあった。
結局、何も分からなかった。
(※続く)
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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