【実話怪談】感染する怪異「壁親父」その1

友人のM氏が仕事帰り、亡霊を見るという。氏の仕事は編集であり、どうしても帰宅は深夜になる。駅から自宅への帰り道にあるパチンコ屋の壁から亡霊が出てくるそうだ。

「山口さん、オレって、そんなにつかれている?」

やつれた顔でM氏は言った。私が、彼からこんな話を聞いたのは2002年の初夏の頃であった。




氏の話を具体的に述べよう。その幽霊というのは、見た目は中年のしょぼくれたおじさんで、ビルの壁の中から出てきて、M氏の後つきまとうのだという。

「会社の帰り、いつもその幽霊を見るんだよ」と氏は力説した。逃げても逃げても、パチンコ屋の壁から出てきて追いかけるのだという。

随分と気味の悪い話だが、私は茶化してこう言った。

「中年のおじさんの幽霊ですか? 我々も、中年ですから、いつそうなるか、わかりませんよ。お互い気を付けましょう」
「なるほどね。うまいこというね〜。明日は我が身か」

M氏は笑った。この時は編集・デザインというハードな仕事をこなすM氏が、肉体的疲労からそんな幻を見るのだと思っていた。同時に、私もそんな気味の悪い話から逃れたかったのかもしれない。

だが、事態は、そんな生優しいものではなかった。

そのうち、サイト妖怪王宛てに送られてきた神奈川のOLの心霊体験と、氏の体験が重なっていることに気付いたのだ。当然、OLの体験は、M氏の体験をサイトや書籍でオープンにする前に送られてきたものである。

“会社の帰り 壁から親父の幽霊が出てきて、飛び降りるシーンを再現する。そして、あとをつける”

まったくM氏の体験と同じである。これは一体どういう事を意味するのか。シンクロか?偶然か?

同じような現象を引き起こす魔物が同時多発しているのだろうか。そのOL(後に本人とは直接話すことになるのだが)は、メールでこう結んでいた。




“その親父の幽霊を、私は壁親父と呼んでいます。現地に一度霊能者の友人に来てもらったのですが、友人の霊視によると、ストラされたサラリーマンがビルの上から投身自殺をした後、幽霊となったものだというのです。その後、自分の自殺のシーンを、何度も何度も、繰返しているのです。そして、現場を通りがかる元気に働く社会人に取り憑いているのです”

本人の妄想か、性質の悪いいたずらか判別はできないが、気持ちの悪い話であった。個人的には都市伝説の同時発生のサンプルとして興味深く見守っていた。(続く)

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©写真素材足成

 

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