昨今、怪談ブームと言うこともあってか芸人が怪談を語る機会が多くなってきた。元々話の上手い芸人だけに、パターン化してしまっている怪談に変則のオチをつけてリメイクすることが多い。
これは筆者のような研究家の立場から言えば、大変興味深い事実であり、怪談を進化させる意味においても有意義なことである。
さて、千原ジュニアの抜群な怪談が以下のようである。
ある時、神戸の街を一台のタクシーが走行していた。すると、深夜遅く人気のない場所で女が手を挙げていた。
「こんな場所に女性がいるわけない。これはひょっとして」
と運転手思ったが、タクシーを止めて女性を乗せた。すると女性はこんな真夜中に行くはずもない山の中へと行き先を告げた。
(ほら、やっぱりそうだ・・・やはりお化けなんだ!)
とタクシー運転手は思った。さらに、
(そのうち女の姿は消えて、座っていたシートはびしょびしょに濡れていると言うオチなんだろう)
などと思いながらタクシーを走らせていた。
しかし、目的地までの道中、バックミラーで何度も女を確認したがなかなかその姿はそこにある。
(おかしいなぁ。いつになったら消えるんだろう)
そう思いながらタクシーをさらに走らせていると、車ではこれ以上いけないと言う場所まで行きついてしまった。その瞬間、後部座席へ振り返って見ると女の姿はそこから消えていた。
(ほらやっぱりそうだった)
と思った瞬間、女の声が聞こえた。
「見つけてくれてありがとう」
その声にビックリした運転手がフロントガラスの向こう側を見たところ、さっきまで後部座席に乗っていた女が首をくくって木からぶら下がっていた。
さすが千原ジュニアである。非の打ちようがない秀逸なオチである。女がそのまま消えっぱなしになるというオチではなく、幽霊が消えた瞬間に遺体が視覚的に現れると言うオチは芸人ならでの話の上手さだ。
怪談の進化に芸人は必要不可欠である。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)