身代金一億円を奪い、飛行機内から逃げた未解決ハイジャック「D.B.クーパー」事件

 先日、アトラスにてカナダで起きたパイロットが消えた謎の飛行機墜落事故について報告した。
 この不可解な事故について、カナダやアメリカでは過去に起きたある有名なハイジャック事件を思い出した人も多かったようだ。

 1971年11月24日午後4時35分、アメリカの上空を飛行していたノースウエスト航空11便にて、一人の男性乗客が客室乗務員の女性にメモを渡し、「爆弾を持っている」と告げた。
 男性は鞄の中に導火線が繋がったダイナマイトを所持しており、身代金20万ドルとパラシュート4つを要求。パイロットが管制官にハイジャックを告げ、当局の指示もあってハイジャック犯に従うことにした。




 午後5時45分、飛行機はシアトル・タコマ国際空港に緊急着陸。身代金とパラシュートを受け取った犯人は乗客全員と客室乗務員2名を解放し、午後7時45分にネバダ州に向かうよう機長に指示して離陸。だが、その後犯人は午後8時11分頃に高度約3000メートルの飛行機からパラシュートを付けて飛び降り、逃げおおせてしまったのである。

 ハイジャックされた飛行機は空軍の戦闘機2機が追跡していたが、視界がきかず犯人がどこへ落ちていったのか確認できなかった。恐らくポートランドの北約50キロのアリエル郊外に降りたと考えられたが、その後の捜索でも犯人の男性の足取りはつかむことができなかった。

 犯人の男性は飛行機に「ダン・クーパー」という偽名で搭乗していた。しかし、捜査の途中でよく似た名前の「ダニエル・B・クーパー」という名前の人物が被疑者として拘束されてしまい、現在では「D.B.クーパー事件」という名称で知られるようになっている。




 さて、今回の犯人がどうなったのかは全く分かっていない。まんまと逃げおおせ、一市民として亡くなったという説や、1980年にワシントン州バンクーバー郊外にてピクニックに来ていた家族が身代金の一部を発見したため、人里離れた所に落下したため亡くなってしまったのではないかとする説もあった。

 いずれにせよ、機長や乗客らに危害を加える事もなく、指紋などの物証もほとんど残されなかったこの事件は、今も謎に満ちた未解決事件の一つとされているのである。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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