筆者は以前、在京キー局の役員を務めた方と心霊学会で霊能者について話した事がある。その時、ガチな霊能者として木村藤子の名が共通して上がった。
筆者の著書『超常現象の作り方』(宝島社)では、インチキ霊能者のトリックや実名をばらしているが、木村藤子は違う。なんの下調べもトリックも使わず言い当てるのだ。
正直何故こんな事が起こるのか筆者には説明出来ない。だが、筆者の付き合う霊能者の中にもあーりんさんや、茶羅尼さんというなんの前情報もなく的中する能力者はいる。
基本テレビに出まくっている能力者は事前調査をやっている詐欺野郎や、見えると言い張っているトリック野郎が多い。中には有名な法力坊主のくせに「見える」と嘘を言い張っている輩も存在する。
そんな木村藤子が名前をあげたのは1990年に青森県むつ市で発生した大蛇脱走事件である。
むつ市内のデパートから脱走した5メートルのニシキヘビの潜んでいる場所を見事に言い当てたのだ。
この事件はニュースになり日本中に木村藤子の名前が知れ渡った。
それまでは、地元青森にて土著信仰の対象になっているカミサマ〈恐山のイタコや沖縄のユタのような存在〉の一人として人気のあった木村藤子の全国区デビューの瞬間であった。
その後、度々テレビに出るようになったが、飯島愛の死を予言したことで再び渦中の人になった。
芸能界引退が間近だった飯島愛は、『金スマ』《TBS》にて自ら引退を視聴者に報告していた。
表向きは腎不全による引退であったが、共演していた木村藤子は違う理由を指摘した。マイクを切り、スタジオの片隅で真実を飯島愛に向かって言い当てたというのだ。マイクが切られていたため、指摘した内容は不明だが、飯島愛が声をあげて驚いており、的中したのは事実であろう。
残念ながら木村藤子の助言も虚しく飯島愛は芸能界を引退し、孤独死の末、一週間後に遺体で発見されるという悲劇的な最期を遂げる。
その後、飯島愛の霊は自殺した青年の霊を除霊中の木村藤子の前に出現したという。その表情は何かを悟ったように見えたようだ。
飯島愛と木村藤子の間で交わされた会話の内容はミステリーのままではあるが、天国で飯島愛が幸せであることを祈りたい。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
画像は『「気づき」の幸せ』表紙より