2月14日、韓国政府は北朝鮮の故金正日委員長の長男金正男氏がマレーシアで殺害されたと発表した。
その報道によると、昨日の午前9時、マレーシアのクアラルンプール空港にて、北朝鮮の女性スパイ2人により毒針で殺害されたとのこと。なお、実行犯の女性2人は逃走中であるという。
現在北朝鮮の最高委員長である金正恩委員長とは異母兄弟にあたる。彼が日本で注目を集めたのは2001年のこと。「ディズニーランドに行く」目的で日本に不法入国、成田空港で逮捕され妻子と共に強制送還されたのが初めてだ。
その後、故金正日委員長が体調不良のため後継者問題が噂された時、金正男氏は再び世間の注目を集めた。しかし、金正男氏は成人して早々に北朝鮮を離れ海外で生活する事が多くなっており、記者らのインタビューに対しても後継者問題や政治に興味がないと答えていた。事実、後継者は三男である金正恩氏が継ぐこととなった。
もともと金正男氏は兄弟の中でも穏やかな性格であり、早くから留学していたこともあって北朝鮮の現体制に関して比較的冷静な視点を持っていたと言われている。そのため、故金正日委員長も後継者には正恩の方がふさわしいと考えていたという。
実際、北朝鮮の後継者には金正恩氏が就き、それ以降正男氏はより北朝鮮から距離をおくようになる。
今回の暗殺は、彼が北朝鮮への帰国命令に従わなかったために報復として行われた、という説が出ているが、一報で金正恩委員長が自らの権力基盤を高めるために企てたのではないかという意見も出てきている。
国家委員長は三代続く世襲の形をとっている。そのようなわけで後継者の話が出た際には、長男である正男氏を推す声も当時の北朝鮮国内では強かったとされている。そのため、常に金正恩委員長は金正男氏の存在を自らの驚異と考えていたという。
つまり、自由に北朝鮮国外で動くことの出来る正男氏が中国の人物と接触するなどして自身の権力基盤に影響が出るのではないかと考えた金委員長が暗殺を指示したのではないかとみられている。
2013年、北朝鮮のナンバー2であった張成沢氏が中国と通じ、長男を総書記につけるクーデターを画策していたとして処刑された。その後も北朝鮮では有力者の処刑が行われ続けており、昨年の2016年は有力者を含めた60人以上が粛正されたとされている。
折しも日米首脳会談の日、北朝鮮から日本海に向けてミサイルが発射された。より強硬に、独裁国家の攻撃的な面を見せ続けている北朝鮮。
今後どのような姿を見せていくのだろうか。
(勝木孝幸 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
※画像©PIXABAY