伝説上の存在ともいえる妖怪だが、中には現れた年月日や大きさ、姿などがわかる詳細な記録や物証が存在しているものもある。
有名なものの一つが四国霊場第八十二番札所である香川県の根香寺に伝わる牛鬼伝説だ。
この地にはかつて恐ろしい姿の牛鬼が現れたという伝説があり、寺には牛鬼の角が寺宝として今も残っていると言うのだ。この鬼の角は現在は残念ながら非公開となっているが、文献などで確認する事ができる。
伝説の牛鬼の姿も寺には伝わっており、牛鬼の姿を写したとされる掛け軸には大きな目に長い角、口からも牙がはみ出しているという凶暴そうな、しかしどこかユーモラスな造形の牛鬼が描かれている。特徴的なのは体の横にある皮膜だ。まるでムササビやモモンガのような皮膜が腕からわき腹にかけて存在しているように見える。
日本に妖怪伝説は多々あれど、このような皮膜を持つという特徴の妖怪はないため非常に珍しい外見的特徴を備えていると言えるだろう。
この牛鬼は天正年間に山で暴れ回っていたところを弓の名手に退治され、死体の角が寺に奉納されたものだという。実際にこの角は奇妙に曲がっており、日本に生息する生物のものと比べても非常に奇妙なものとなっている。
もし妖怪のものでなかったとしても、生物学的に非常に珍しいものであることに間違いはないだろう。
関連サイト
四国八十八箇所霊場 青峰山 千手院 根香寺
(加藤文則 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)