※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
煙が妖怪になったこえんらとえんらえんらは、古典妖怪に属する通り、江戸時代の文献にも登場する妖怪だ。
江戸時代の絵師・鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』によれば、「蚊取り線香などの煙が渦を巻き、普通の煙にはあり得ないような奇妙な姿をとる事がある。
しかし、その姿は薄い布のように、ひとたび風が吹けば破れて消えてしまうようなものである」として、このもろい煙の妖怪を煙々羅(烟々羅)と名付けている。
妖怪大辞典のこえんらの説明にもある通り、「煙がある場所にならどこにでも発生する妖怪」なのだが、成長して煙々羅になったとしても、強い風ですぐに消えてしまうようなか弱い存在らしい。
さて、妖怪ウォッチのこえんらは煙や雲の固まりのような姿を、えんらえんらは女性のような姿をしているが、『今昔百鬼拾遺』に出てくる煙々羅はくにゃくにゃと立ち上る大きな煙の柱に顔があるユーモラスな姿をしている。
どちらかというと、こえんらがそのまま大きく、長くなったような姿だ。
しかも大図鑑のえんらえんらの解説には「煙なのでどんな姿にもなれる」と書かれており、評判の良かった美人の姿をとっている事が明らかになっている。
という事は、本来のえんらえんらの姿は、江戸時代から変わらないのかも知れない。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)