※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
妖怪ウォッチ1にて山の池の主として登場し、丸い大きな体を帆掛け船に押し込んだ姿で登場するボス妖怪、つられたろう丸。
頭から長く延びた触覚の先には釣り針がついており、これで性質の違うナマズの兄弟を呼びだし、彼らとともに猛攻をしかけてくる。
池を汚すものは許さない厳しい性格で、その性質が間違って伝わったのか1では光るもので釣りをすれば主が現れるという噂が、2では鉄のこけしを投げ入れると守り神が現れるという噂が流れていた。
1でも2でも噂を試した主人公がゴミを捨てて池を汚したと怒って登場し、バトルになるのだが。
日本の船にはよく「○○丸」と名前が付いているが、これは昔の人の名前「麿」から来ているという。昔の人は人名だけでなく愛着のあるものにも「麿」をつけて呼んでいたため、「麿」が次第に変化して「丸」と呼ばれるようになったとされている。
日本にも昔から「丸」と名前の付いた船の妖怪の伝説が存在する。
それが軍艦の妖怪「安宅丸」だ。伊豆で造られた安宅丸は意志を持っており、罪人や悪人など自分が気に入らない人が乗り込もうとするとうなり声をあげて乗船を拒否したり、江戸に着いてからは故郷の伊豆を懐かしみ「伊豆に帰ろう」「伊豆に行こう」と声を上げて独りでに出航してしまう。
この後安宅丸は壊されてしまうのだが、もし味方にすることができていたら最強の妖怪軍艦として活躍していたのかもしれない。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)