※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」 をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説し ていくコーナーです。
いつもニコニコした微笑みを絶やさない、黄色い雲のような姿をしたホノボーノは、優しい心を持つ癒し系妖怪が集まるポカポカ族の代表ともいえる存在だ。
ホノボーノの周りには常にほのぼのした空気が漂っており、とりつかれると「どんなに怒っている人も優しい気持ちに」なり、場の空気を和ませてくれる。ちなみによく見るとホノボーノにはヒゲが生えている。
実はブキミー族で場の空気を悪くしてしまうドンヨリーヌの旦那さんなのだ。奥さんのドンヨリーヌが落ち込んでいるときは「ギューッと抱きしめてあげる」という愛妻家でもある。
普通、妖怪というと夜に出る迷惑な存在であり、人間にもたらす影響もあまりよくないものが多い。しかし、中にはホノボーノのように人を笑顔にさせてしまう妖怪も存在する。
その名は伏梁、またの名を心積という。戦国時代に書かれた鍼灸の指南書である『心積』にて紹介されている寄生虫なのだが、掲載されている虫たちの姿や性質は実に妖怪じみている。
伏梁は心臓に寄生して大きく成長し、とりつかれた人はいつも笑顔の状態になってしまうという。しかし、精神力も弱まってしまうため、成長しきらないうちに治療してしまうのが良いそうだ。
同書にはホノボーノのように赤い雲のような姿で笑顔を浮かべる伏梁の姿が描かれている。やはり良い妖怪であっても、長い間とりつかれたままなのは危険なようだ。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)