今月20日に神奈川県横浜市の病院で、入院していた88歳の男性が死亡するという事件が発生した。
寝たきりの状態だった男性が午前4時頃に容態が急変したもので、病院関係者が男性の点滴が泡立っているのを発見。この点滴には洗剤などに含まれている界面活性剤が混入されてたことが判明した。
警察は何者かが点滴の中に故意に混入させた疑いがあると見て、殺人の疑いで捜査を行っている。また今回の事件に関しては、以前から病院内でも様々な異変が起きていたことから、病院関係者の関与が疑われている。
病院関係者や医療従事者が殺人を犯していた、というケースは国内外を問わず度々起きている。
有名なものは、イングランドで発生した看護士ビヴァリー・アリットによる連続殺人事件だ。
1991年、イングランド東部リンカシャー州グランサムの総合病院小児科棟で、生後7週間の男児が心停止で死亡すると言う事件が起きた。その後も小児科では立て続けに入院している子供達が異変に見舞われ、2ヶ月のうちに8人もの子供が原因不明の心停止で死亡するという事態が続いた。
頻発した子供の死亡に異変を感じ、病院側が警察に通報し、警察が発作を起こした児童を調べると、大人用注射器一本分のインシュリンが投与されていた痕跡を発見。
何者かが故意に入院している児童に薬品などを投与している可能性が出てきた。
警察は更に、子供達が亡くなった日の医療担当者を調査した所、全ての被害者に共通して一人の看護士、ビヴァリー・アリットが関与していた事実を発見したのだ。
実は彼女は幼少期からミュンヒハウゼン症候群を発症していた。ミュンヒハウゼン症候群とは、一種の心身症で周囲の関心を引くために自傷行為を行ったり、病気を詐称したりするものである。
また、自分ではなく周囲の別の人物を傷つけたり、病気にしてしまう場合は代理ミュンヒハウゼン症候群と呼ばれる。ビヴァリー・アリットはこの代理ミュンヒハウゼン症候群であったという。
彼女は幼少期から周囲の気を引くために包帯や湿布を貼って病気や怪我を装っていた事があり、それは看護学校時代も変わらなかった。看護学校時代は仮病で休んで出席日数が足りなくなり追試を受けなければならなくなったが、それも手を怪我したことにして逃れていたという。
そして、看護士になった代理ミュンヒハウゼン症候群の彼女が”傷つけたい”対象として選んでいたのが、他ならぬ入院患者だったのである。
だが、彼女の被害にあった子供の親たちは、献身的に看護していた彼女の姿を良く覚えていたため、彼女が犯人だと聞かされてもすぐには理解できなかったという。
ビヴァリー・アリットは4件の殺人と9件の殺人未遂の罪で終身刑となった。
彼女は拘留中や裁判の間に拒食症になったり、再び自傷行為を見せたりしたという。なお、彼女の口からは最後まで謝罪の言葉が出ることはなかったそうだ。
(ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)