浦島太郎伝説に潜む海の向こうの異界【前編】

 我々、日本人にとって最も親しみのある昔話のひとつに「浦島太郎」がある。

 浜辺でいじめられていた亀を助けた浦島太郎が、そのお礼にと竜宮城に招かれ、楽しく過ごすものの、急に寂しくなって故郷に帰ってみると何百年も経っていたというストーリーである。




 ♪昔、昔、浦島は助けた亀につれられて、竜宮城に行ってみれば、絵にもかけない美しさ♪

 この童謡を口ずさんだ方も多いはず。最後、老人になってしまう結末が、なんとも不可解で、誰しも心に残っているお話ではないだろうか。

 この昔話にも秘められたミステリーがあると言われている。

 一部のUFO研究家は、アインシュタインの相対性理論を使いこう説明している。宇宙人(?)によって、拉致された人間が、宇宙空間を宇宙船に乗り光速状態で過した。それ故に、地球上と宇宙での時間の流れに誤差が生じて、宇宙空間においては、ほんの数年が地球上では何百年も経っていた。そして、地球に帰還した人間が、この奇妙な経験を昔話として伝えたのであるという。

 まあ、これの説が本当かどうかは別にして、この手の時間の流れによる差異を「ウラシマ効果」と呼んでいるのは事実である。




 さて、科学的考察はこのあたりにして、何故、人がこういう「海の向こうの楽園」という思想をもったのか。民俗学的に考察してみたいと思う。日本国内には多くのウラシマ伝説が伝わる場所がある。遠く沖縄にも「海の向こうの楽園」という考えが残されている。(本州在住の人間から見ると、沖縄こそ楽園に見えるのだが、他人の柿ほど甘く思えるのであろう)

【後編】につづく

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

浦島太郎

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