【古典怪談】「白い手」(前編)

夏の風物詩的なイベントともいえる肝試しだが、その歴史は思いのほか古く、平安時代にはすでに行われていたようである。

平安時代に書かれた歴史物語『大鏡』には、花山天皇が藤原家の3人の子供たちに、深夜3時に鬼が出るという噂がある家に行かせたという話があり、この頃には肝試しが行われていたことが伺えるのだ。

兵庫県、美方郡の浜坂町には江戸時代に起きたという、肝試しにまつわるこんな怪異談が残されている。

この当時、浜坂町は原と呼ばれていたが、ここに女の幽霊が出ると噂される場所があった。ある夜、噂を聞きつけた3人の若者がその場所を訪れた。そこはなんのへんてつもない道であったが、訪れたのは夜中である。




他に人もおらず、深い闇が支配するあたりの様子は、ただでさえ不気味であった。それに、妙に生臭い風が吹き込んでくる。

思わず、1人がこう漏らした。

「聞きしにまさる、まことに気味の悪い場所よのう」
「いかにも何かが出て来そうじゃ」

2人が心細げにつぶやいていると、もう1人が言った。

「わしらは仲間やろ。何があっても逃げんよな」
「当たり前やろ」
「逃げるもんか」

2人の答えを聞いて、その男はニッコリと笑った。

「ありがたい。これを見てくれ」

そう言って、自分の股間を指さした。

「先ほどから、白くて柔いものが、わしの股間をつかんでおる」




見ると、地面から伸びる白い手が、男のイチモツを掴んでいた。

「ひいいっ・・・!」
「うわ〜っ!」

前言はどこにいったのか、2人はほうぼうの体で逃げ出した。

「おい! 待ってくれ!」

2人は夜の闇に消え、1人だけ取り残されてしまった。(※続く)

(監修:山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©写真素材足成

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