【実話怪談】別の世界に迷い込んだ話「異界の町」

【東京都・女性・漫画家:本人体験談】

 私たちが子供の頃、昭和40年代までは、東京でもあちこちに防空壕が残っていました。

 「危険だから、遊んではいけません」
 親たちは、子供たちに言い聞かせたのですが、子供にとって防空壕は最高の遊び場所です。まるで秘密基地のように思えて、度々遊びに行っていたのです。




 ある日の事、私は急に思いつきました。
 「この防空壕をぬけると、どこに繋がるんだろうか」
 そんな好奇心が沸いてくると、もう我慢ができません。この防空壕は、長く掘られており、遠く離れた場所に出れるようになっていました。
 「よし、行っちゃえ」

 私はその防空壕の中を一人で、出口を求めて歩き出しました。すると、奇妙な場所に出たのです。穴の中から首を出し、おそるおそる様子を伺うと、そこは異界でした。私の目に写ったのは、赤い鉄の壁に囲まれた誰もいない広場でした。

 「ここはどこなの?」
 私はなんともいえない不思議な気持ちになりました。広さは学校の校庭位で、大きな木からタイヤがぶら下がっている他、何もないんです。

 (ここに居てはいけない)
 なんともいえない恐怖が私の中でわきあがりました。どこか懐かしく和む光景だけど、意味もなく怖くなって、穴から出ないですぐ戻ったのです。




 実は兄の友人も防空壕を抜けて、異界の町に迷い込んだことがあるらしく、どうも防空壕というのは、奇妙な時空間に繋がっているみたいですね。

 因みに後日、兄や友達とあの広場や異界の町を探したけど、密集住宅地にあんな広場はなかったんです。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

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