妖怪

これが本当の「こわい」妖怪? 「狐者異(こわい)」

狐者異で「こわい」と呼ぶ。江戸時代の奇譚集、竹原春泉の「絵本百物語」にて紹介されている妖怪。

この妖怪は多くの妖怪画の中でもかなりインパクトのある描かれ方をしている。

うどん屋の屋台に身を乗り出すようにして、髪を逆立て血走った大きな目を剥き、牙のはまった大口を開ける青い衣の妖怪の姿は、当時の子供からすると文字通り「こわい」ものだったのではないだろうか。

「絵本百物語」によれば、死んだ後も店を襲って食べ物を奪い、ゴミ箱を漁って生ゴミや屍肉すら口にしようとする、非常に食欲が強く食べ物に執着した妖怪であると書かれている。常に食べるものを求めているあたり、「餓鬼」や「ひだる神」に近い妖怪かも知れない。

しかし、この妖怪は「絵本百物語」以外に記述されている文献も具体的な伝承もないため、竹原春泉が意地汚い人間を揶揄して創作したものではないかとする説もある。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用