青酸コーラ無差別殺人事件は、1977年、年が明けて間もない1月4日から2月半ばにかけて発生した無差別殺人事件である。
屋外に置かれていた青酸ソーダ入りのコカ・コーラを飲み、計3人もの死亡者が出たこの事件は、模倣とした事件が起こったほか、自販機飲料の形状などの見直しに至るなど大きな影響を与えた。犯人逮捕には至らず、1992年に公訴時効が成立し、犯人や動機も不明なままである謎の多い未解決事件である。
1977年1月3日、都内に住む男子高校生がバイトからの帰宅中、品川駅近くの公衆電話に置かれていた未開封と思しきコカ・コーラを拾い持ち帰った。当時のコカ・コーラは瓶であり、王冠がぴったりとはめ込まれていたという。日をまたいだ深夜、彼はコーラを開封し飲んだが味に違和感を持ったため吐き出して口を漱いだ。
しかし、その後すぐに倒れ込んで意識不明となり、ただちに搬送され救命処置がとられたが死亡した。死因は青酸中毒であり、コーラに青酸ソーダが入れられていたことが判明した。
その後、同日4日の早朝には、コーラが置かれていた電話ボックスから約600メートル離れた歩道上で、40代の作業員が倒れて死亡しているのが発見された。近くに青酸反応が出たコーラ瓶が開栓されて落ちており死因が青酸中毒であったことから、同様の犯行であると考えられた。
また、同日の昼過ぎには、周辺を捜索していた警察によってある商店の赤電話の下から青酸コーラが発見されている。その商店の15歳の息子が後で飲もうと取っておいたものであったそうであり、少年は幸いにも難を逃れる結果となった。
だが事件は都内だけに留まらなかった。およそ1ヶ月後の大阪府藤井寺市にて、出勤途中であった30代の会社員男性が公衆電話に置かれているコーラ瓶を発見した。同僚に止められたものの男性は大丈夫と言って飲み始め、突然意識不明の状態に陥り病院に運ばれた。
コーラからは青酸反応が検出されたが、男性は一命を取り留めることができた。しかし、男性は東京での事件を知っていた上での失態を苦に、退院の翌日にガス自殺してしまった。
これらの事件以外でコーラによる被害は聞かれていないが、一方で別の事件が発生していた。
大阪の事件の翌日、東京駅や八重洲地下街でチョコレート40箱が入っている紙袋が発見された。発見者は、青酸コーラの一件もあり警察へ遺失物として届け出るも、持ち主が現れぬまま研究所へ回された結果、青酸化合物が検出されたという。また、同日神田駅でチョコレートを拾い食して意識不明となった男性が搬送されていた。
命に別状はなく当初は食中毒と診断されたのだが、のちに被害者本人から提供されたチョコレートから微量の青酸ナトリウムが含まれていたことがわかった。
この不可解な一連の事件は、とある別の事件との関連も示唆されている。それは1977年3月17日に発生した、羽田空港から仙台空港に向かう旅客機がハイジャックされた全日空817便ハイジャック事件だ。この事件では、犯人となる男が緊急着陸後に一人トイレへ立て籠もり青酸化合物を服用し自殺してしまったために動機不明なままとなっている。
この事件の2日ほど前、神奈川県横浜市にあるメッキ工場から青酸ナトリウム錠剤が詐取されるという事件が発生しており、ハイジャック犯との関連も踏まえた調査がなされた。
コーラと同様青酸化合物というつながりのほか、一説にはハイジャック犯が泊まっていた簡易宿泊所と、コーラ事件の被害者である作業員男性のいた宿泊所が隣り合わせであり、またチョコレート事件の現場でハイジャック犯と似た人物の目撃もあったと言われている。
いずれも真相はわからずじまいとなり謎だけが残る事件となっている。
【参考記事・文献】
青酸コーラ無差別殺人事件
https://x.gd/ZH5ho
電話ボックスに置かれた1本のコーラから全ては始まった…「青酸コーラ連続殺人事件(1977年)」【TBSアーカイブ秘録】
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/431516?display=1
青酸コーラ無差別殺人事件②~毒入りチョコ事件と関連性がある事件~
https://ameblo.jp/zennyoubi/entry-12751327195.html
(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Photo credit: GraceOda on Visualhunt.com
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