隙間から手が伸びて人間を引きずり込む妖怪「隙間さん」





これもアトラスの収集している現代妖怪の一種である。「笑い女」「とわとわさん」「めかぁ猫」「挑戦ババア」「コイヌマ様」などと同じ類である。

「隙間さん」とは、ある街に出ていた現在妖怪。町中のあらゆる隙間に出没し、人間を隙間に引きずり込む。ものすごい力で逃げる事はできない。掴まれた服が破れて幸運にも逃げた人物はいる。姿は腕しか見えない。

行方不明になる人が続出し、小中学生はビビっていた。ある時、武道の心得がある人が「隙間さん」に遭遇してしまった。その人はすかさず手をいなし、あろうことか手首を折ってしまった。結果的にこの人物は「隙間さん」の被害から逃れることができた。




それ以来、妖怪「隙間さん」は心が折れたらしく、人間を引きずりこむのはやめてしまった。現在では、出てきても優しく撫でるだけだと言われている。

この妖怪「隙間さん」は、明らかに芸人・桜金造の十八番の話である「隙間女」の影響を受けている。違うのは「隙間女」は、全身が確認できることである。

伝承妖怪にも「戸袋の女」と言う化け物がおり、雨戸を収納する戸袋に、女が隠れていると言う話が残されている。筆者の聞き取り調査によると、現代人の体験談でも、岐阜県で戸袋に隠れている老婆を目撃したと言う若い女性が実在している。民俗学的に考えると、戸袋というのは外の世界と家の中を分ける境界であり、異界の住人が姿を現すのにちょうどいい場所だ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

イメージ画像©PIXABAY




 

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