ここ数年流行ったのが「赤い部屋」という都市伝説だ。元々は創作された都市伝説だったらしいが、今や様々な類話を生み出し、都市伝説として進化している。内容を紹介すると以下のようなものである。
ある学生が、学校で友人から都市伝説の「赤い部屋」という話について小耳に挟む。この都市伝説に興味を持った彼は、自宅に帰るや否や、すぐさま自分のパソコンで検索を試みる。だが、なかなかそのサイトは出てこない。
何度も検索するなど苦心し、ようやく「赤い部屋」というサイトを見つけ、アクセスするが、ただ単に「赤い部屋」というバナーが表示されるだけである。彼はつい不満を述べてしまった。
「いったい、どこが怖いんだよ」
これではまったく恐怖の意味が理解できない。
「くだらねえ、寝るとするか」
パソコンを閉じようとするが、「赤い部屋」というバナーが現れ、なかなか消えない。困惑しながらも、何度かクリックして消そうとしているうちに、段々とバナーが割れてくる。
「赤い部屋」というバナーの真ん中に亀裂が生まれているのだ。そして、割れた瞬間、彼には死が訪れた。
さて、この「赤い部屋」という都市伝説は「赤い部屋」が出てくる派生の都市伝説が生まれるのが早かったように思える。なので、この「PCサイト版」とも言える「赤い部屋」の話を聞いたことがないという人も多いかもしれない。
この点について筆者は不思議に思っていた。えてして噂や都市伝説が広がるとき、話し手によって改良され、様々なバリエーションの類話が生まれる。よりリアリテイのある方に、より不気味な方に話は進化していくものなのだ。その噂が広範囲に広がれば広がる程、その地域や地方に応じた形の類話が増えていく。これが都市伝説の進化論なのである。
それは、誰しもが子供の頃、遠足に行く途中にバスの中で経験した「伝言ゲーム」を思い出すと理解しやすい。同じクラスの数十人で伝播するだけで、話の内容が大幅に違っていることが多かった。これは本当に間違えている奴や、悪戯で情報を混乱させる奴など様々な人間の手によって変貌したものであった。
このような変化は、当然都市伝説の伝播作業中にも起こる。日本中で様々な人間が都市伝説をしゃべるのである。
前述のとおり、この「赤い部屋」の都市伝説は多くの別バージョンが存在する。他の「赤い部屋」については次回以降に譲ろう。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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