今では2月の風物詩になっている節分だが、本来は「追儺(おにやらい)」という大晦日の宮中の儀式であり、これが民間に浸透し節分の豆まきに繋がっていった。
節分と言えば豆であるが、この豆まきには正しい作法があるという。あまり意識されていないが本来ならば鬼門(北東)という鬼が侵入してくる方角に向かって豆をまくのが正式である。
ここ数年、我が国で広がっているのは、その恵方に向かって黙って一気に「恵方巻き」を食べるという習慣である。
昭和の頃はあまり一般的な習慣ではなかった「恵方巻き」だが、今やコンビニやスーパーで普通に売られており、各社それなりの売れ行きがあるようだ。
この節分に恵方巻きを食べるという習慣は関西からはじまったという説が有力である。
大阪の海苔屋さんが商売繁盛を目的に始めたといわれている。この海苔屋さんは、昔から京都の花柳界にあった習慣をもとにヒントを得たという。芸者さん遊女さんが節分に「旦那さまの大事な部分」に見立てて、新香巻きを食べていた習慣があったのだ。なんとエロく風流な習慣であろうか。
他にも節分に関連する食べ物は多い。かつて江戸期の豪商や武家屋敷などでは、鬼門の方角に魔除けの桃を植えたりしていた。これはイザナギノミコトが、亡くなった妻・イザナミノミコトに会うために黄泉の国に行ったものの醜く変貌した妻から逃げる際に、魔除けの効果がある桃を追手の悪鬼に投げつけて足止めをした故事に由来している。
ちなみに、鬼に投げつける豆そのものにも意味がある。地中から芽を出す果実や穀物には、国に富を運び、魔物を払う力があるという。また、魔物の目は、弱点とされている。以上の事から、豆(まめ)には「魔物の目=まめ」という意味や、「魔物を滅する=魔滅(まめ)」という意味合いがあるという。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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